登録免許税・印紙税のしくみと節税のポイント
登記と契約で発生する2つの税金を正しく理解
登記にかかる登録免許税と、売買契約書に貼る印紙税の違い、計算方法、節税のコツを整理します。
まとめ
- 不動産取引で発生する登録免許税と印紙税は、登記と契約でそれぞれ課される国税です。
- 登録免許税は所有権移転や抵当権設定の際に法務局へ納付するもので、軽減措置により0.1〜0.3%まで下がることもあります。
- 一方、印紙税は契約書に貼る収入印紙で納付しますが、電子契約なら非課税となり節税可能です。
- 両者を正しく理解し、登記の時期調整や電子化を活用することで、諸費用を効率的に抑えることができます。
- 不動産購入では「登記の税」「契約の税」の違いを知ることが節税の第一歩です。
不動産購入時に見落としがちな“2つの税金”
マンションや戸建ての購入には、「物件価格」以外にもさまざまな費用がかかります。その中でも見落とされがちなのが、登録免許税と印紙税という2種類の税金です。
どちらも“国税”であり、不動産を取得・登記・契約する際に必ず発生します。しかし、内容と目的はまったく異なります。
この記事では、両者の違い・計算方法・節税のコツを、初めて不動産を購入する方でも理解できるよう、分かりやすく整理します。
登録免許税とは?―登記に対して課される税金
登録免許税の概要
登録免許税とは、不動産登記や権利変更を法務局に申請する際に課される税金です。つまり、「登記簿に自分の名義を記録するための費用」と考えるとわかりやすいでしょう。
この税金は、
- 所有権を移転したとき(不動産の購入や贈与)
- 抵当権を設定したとき(住宅ローンを組む場合)
- 住所変更や名義変更をしたとき
などに発生します。
登録免許税の計算方法
登録免許税の課税額は、以下の式で求められます。
課税額 = 課税標準 × 税率
主な税率の例(令和7年現在)
| 登記の種類 | 税率 | 課税標準の例 |
|---|---|---|
| 所有権移転登記(売買) | 不動産評価額の0.4% | 固定資産税評価額 |
| 所有権移転登記(相続) | 0.4% → 軽減特例0.2% | 同上 |
| 抵当権設定登記 | 借入金額の0.4% | ローン額 |
| 住所変更登記 | 不動産1件につき1,000円 | 定額 |
※税率は軽減措置により変動あり。住宅用家屋や特定認定住宅では0.15%〜0.1%まで軽減されるケースもあります。
実例:3,000万円のマンション購入時
固定資産税評価額が2,400万円の場合、所有権移転登記の登録免許税は以下のように計算されます。
2,400万円 × 0.004(0.4%)= 96,000円
これに加えて、住宅ローンを組む場合は抵当権設定登記が必要です。仮にローン額が2,000万円の場合、2,000万円 × 0.004= 80,000円
つまり合計で約17.6万円の登録免許税がかかることになります。
印紙税とは?―契約書に貼る“収入印紙”の税金
印紙税の概要
印紙税とは、一定の取引に関する契約書や領収書などに課される税金です。売買契約書や金銭消費貸借契約書(ローン契約書)などに印紙(収入印紙)を貼って納税します。
これは、紙の文書に法的効力を持たせるための「取引記録税」ともいえるもの。貼り忘れると、過怠税(最大3倍)を課されることもあるため注意が必要です。
印紙税の課税対象と税額
不動産取引で代表的な課税文書は以下の通りです。
| 契約書の種類 | 印紙税額(1通あたり) |
|---|---|
| 不動産売買契約書(契約金額1,000万円超〜5,000万円以下) | 10,000円 |
| 不動産売買契約書(5,000万円超〜1億円以下) | 30,000円 |
| 金銭消費貸借契約書(ローン契約) | 20,000円 |
| 建築請負契約書(1,000万円超〜5,000万円以下) | 10,000円 |
※電子契約を採用している場合、紙の契約書が発行されないため印紙税は非課税です。
印紙の貼り方と注意点
印紙は、契約書1通ごとに必要です。売主・買主それぞれが保管用の契約書を持つ場合、両方に印紙が必要になります。
また、印紙を貼ったら必ず「割印(消印)」を押して無効化します。これを忘れると納税が完了していないとみなされる可能性もあります。
登録免許税と印紙税の違いを整理
| 項目 | 登録免許税 | 印紙税 |
|---|---|---|
| 納付のタイミング | 登記申請時(法務局) | 契約書作成時 |
| 対象行為 | 所有権移転・抵当権設定 | 契約書・ローン契約 |
| 納付方法 | 登録免許税納付用印紙を貼付(または電子納付) | 収入印紙を契約書に貼付 |
| 管轄 | 法務局 | 税務署 |
| 軽減措置 | 住宅用家屋の登記に特例あり | 電子契約は非課税 |
登録免許税=「登記の税」印紙税=「契約の税」。この違いを理解しておくことで、手続き時の混乱を防げます。
節税のポイント①:登録免許税の軽減措置を活用
住宅購入者向けには、国による軽減措置が複数あります。
新築住宅の所有権保存登記
→ 税率0.15%(通常0.4%)に軽減
中古住宅の所有権移転登記
→ 税率0.3%(通常0.4%)に軽減
※耐震基準適合証明書などを取得した場合に適用可能。
抵当権設定登記
→ 税率0.1%(通常0.4%)に軽減(住宅ローン控除対象住宅の場合)
注意:登記申請を遅らせると軽減が受けられない場合も
軽減措置には「申請期限」があるため、購入後は司法書士を通じて速やかに登記申請を行うことが大切です。
節税のポイント:印紙税は“電子契約”でゼロにできる
近年、不動産取引でもクラウドサインなどの電子契約サービスを導入するケースが増えています。電子文書には印紙税が課されません。
| 契約形態 | 印紙税課税 | 節税効果 |
|---|---|---|
| 紙の契約書 | 課税対象 | 印紙税が発生(1〜6万円程度) |
| 電子契約 | 非課税 | 印紙税ゼロ(数万円節約可能) |
大手不動産会社や金融機関でも電子契約の導入が進み、特に法人取引では年間数十万円単位の節税につながるケースもあります。
節税のポイント:登記手続きを一本化してコスト削減
司法書士を通じて複数の登記を同時に申請する場合、書類準備や手数料の負担が軽減できることがあります。
また、同一日に複数登記を行う場合、印紙代がまとめて処理できるケースもあるため、登記日程の調整も節税のひとつのコツです。
2つの税金の違いを理解して“支出を管理”
登録免許税と印紙税は、不動産取引のほぼすべてに発生します。しかし、その性質と目的を理解しておけば、「なぜ必要なのか」「どうすれば抑えられるのか」が明確になります。
- 登録免許税は“登記”の税。
- 印紙税は“契約”の税。
- 電子契約や軽減措置を活用すれば数万円単位の節税も可能。
不動産購入で「諸費用を賢く減らす」には、税金の知識が最大の武器です。司法書士・税理士に相談しながら、手続きごとに最適な節税策を検討しましょう。



