マンションと団地の違い。見た目だけじゃない違う部分を知っておこう。
マンションと団地は見た目だけではない大きな違いがある。
団地といえば古くからある同じ形をした白い集合住宅で、旧公団のように公共の建築物という認識を持っている人も多くいます。
しかし、団地の中にもマンションと同じように民間企業が建てて分譲された団地も多数あります。では、団地とマンションの違いは見た目以外にはどのような物が他にあるでしょうか?
まとめ
- 団地は複数棟の住宅を計画的に配置し、公園や商業施設を含む街区全体を整備した集合住宅で、公的機関による賃貸型と民間企業による分譲型があります。
- 公的団地は住宅不足解消を目的にURや自治体が建設した社会的住宅で、家賃が安く長期居住向き。
- 民間分譲団地は1960年代以降、デベロッパーが中間層向けに開発した持ち家型の集合住宅で、後の分譲マンションの原型となりました。
- マンションは都市部に多く、区分所有を前提に資産価値や利便性を重視した私的住宅です。団地は「街としての住まい」、マンションは「個人資産としての住まい」といえます。
「団地」と「マンション」
「団地とマンションの違いは?」と聞かれて、正確に説明できる人は意外と少ないでしょう。
どちらも集合住宅であり、古いマンションは団地に外観も似ています。
ですが、実は成り立ち・所有形態・目的・管理体制がまったく異なります。
しかも「団地」といっても一括りではありません。「URや自治体が建てた公的団地」と、「民間企業が開発した分譲団地」が存在し、これらは同じ団地でも役割が異なります。
団地とは?―集合住宅と街を一体で開発した住宅
■ 団地の定義
団地(住宅団地)とは、複数の住宅棟を計画的に配置し、公園・道路・商業施設などを含めて一体的に整備した居住区域を指します。
つまり、建物単体ではなく「街区全体を住宅地として造成したもの」が団地です。例えば、神奈川県の郊外の団地には小学校や病院、大手スーパーが敷地内に存在するような大きな団地もあります。
つまり、団地内で全ての生活が完結してしまうような「小さな街」ぐらいの規模の集合住宅地が団地の中には多くあります。
日本の団地は大きく以下の2種類に分けられます。
| 種類 | 建設主体 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 公的団地 | 国(旧日本住宅公団=UR)、地方自治体、公社など | 公的住宅政策の一環。低〜中所得層への安定供給。 |
| 民間分譲団地 | 民間デベロッパー(野村・東急・長谷工など) | 各戸分譲型。中間層〜富裕層向け。分譲マンションの前身的存在。 |
公的団地:戦後住宅政策の柱としての役割
1950年代、日本は深刻な住宅不足に直面していました。この問題に対応するため1955年に設立されたのが「日本住宅公団(現UR都市機構)」です。
UR団地や自治体の公営住宅は、
- 安定した家賃で長期居住ができる
- 一定の所得制限や入居資格がある
- 学校・公園・商店街などがセットで整備されている
という特徴があります。
公的団地は「持ち家」ではなく「借りて住むための住宅」であり、社会政策的に住宅を供給する仕組みです。家賃は市場価格より低く、耐火・耐震性の高いRC構造が多く採用されています。
民間分譲団地:マンション普及以前の「分譲集合住宅」
一方、民間分譲団地は、1960年代以降に民間デベロッパーが開発した分譲型の団地を指します。
代表例として、
- 東急不動産などの大手不動産会社も積極的に開発をしています。
- 東急ドエル海老名プラーザ等のように現時点で多くの住人が住むような団地も多く存在しています。
これらは一棟ごとに販売される「マンション」とは異なり、数十棟の低層RC建物を団地形式で配置し、各住戸を分譲販売した形態です。
当時はまだ「マンション(中高層住宅)」が一般的でなかったため、民間分譲団地が「郊外型の持ち家集合住宅」として人気を集めました。
これが現在の分譲マンション文化の原型になっています。

マンションとは?――都市型・資産型の集合住宅
マンションは、主に1970年代以降に普及した都市型の分譲集合住宅です。鉄筋コンクリート造(RC)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で中高層化され、都心や駅近の土地を効率的に利用する形で発展しました。
特徴として、
- 各戸が独立した「区分所有」
- 共用部分は管理組合で運営
- 高層・高級志向
- 売却・賃貸が容易で資産価値が高いといった点が挙げられます。
つまり、団地が「公的・社会的住宅」であり、「住むための機能に絞った住宅」であるのに対して、マンションは「市場価値も含めた住宅」としても位置づけられます。
団地とマンションの構造・管理・所有の違い
| 項目 | 団地(公的) | 団地(民間分譲) | マンション |
|---|---|---|---|
| 建設主体 | 国・自治体・公社 | 民間デベロッパー | 民間デベロッパー |
| 所有形態 | 公的所有・賃貸 | 区分所有(分譲) | 区分所有(分譲) |
| 構造 | RC造5階建中心 | RC造・低中層 | RC/SRC・高層(10階以上も) |
| 管理 | 公的管理(UR等) | 管理組合・管理会社 | 管理組合・管理会社 |
| 価格・家賃 | 家賃補助あり・安い | 中価格帯 | 立地で変動・高価格帯 |
| 入居資格 | 所得制限あり | 誰でも購入可 | 誰でも購入可 |
| 開発範囲 | 住宅+街区全体 | 住宅団地+共用公園 | 建物単体中心 |
| 資産性 | 低い(借家) | 中〜高(所有) | 高い(所有) |
デザイン・立地・街づくりの違い
団地は「まちづくり」を前提に設計されており、敷地内に緑地・遊歩道・商店街・学校などが配置されています。そのため、敷地の広さが必要なため郊外や駅までバスで移動が必要な距離に配置されている事も多いです。
一方マンションは、建物単体での快適性と利便性を追求。駅近・都市部などの立地も重要視され、土地を最大限に活かすためにタワーマンションなどの高層化・高密度化が進みました。
団地:広い敷地を前提とした「郊外型の生活空間」
マンション:都市の中の「効率的な住空間」
という方向性の違いがあります。
団地は一元管理、マンションは管理会社主体
公的団地では、URや自治体などの運営主体が共用部を一元的に管理します。住民は賃貸契約者であり、修繕や管理費は家賃に含まれています。
民間分譲団地やマンションでは、区分所有者が構成する管理組合があり、修繕計画・積立金・防災体制などを自ら決定します。
このため、建物の維持状態や快適性には、管理組合の機能性が大きく影響します。民間分譲団地は管理体制にも伝統があり驚くほどきれいに敷地内の植栽等が整備されている団地もあります。
資産価値:団地は社会的住宅、マンションは私的資産
団地(特に公的団地)は「社会のための住宅」であり、個人の資産形成を目的としていません。
家賃が安く、長期居住が可能ですが、転売や資産価値上昇を期待するものではありません。
一方、マンションや民間分譲団地は個人が所有できる不動産資産であり、立地・築年数・管理状態によって中古市場で取引されます。
民間団地もリノベーションにより再生され、市場で取り引きをされていますが、基本的には割安な物件として評価されるケースが多いです。
マンションの場合、とくに都心部の分譲マンションは資産価値が安定しており、将来的な売却・相続にも適しています。
団地の再生とマンション化
多くの団地は建設から50年以上が経過し、老朽化・空室化・住民の高齢化といった課題を抱えています。
UR都市機構や自治体では、
- 建て替えによる「再開発マンション化」
- 民間との連携による「団地再生プロジェクト」
- 学生・子育て世代の誘致
などの取り組みが進行中です。
代表例として、
多摩ニュータウン・高島平団地・千里ニュータウンなどでは、団地の一部が分譲マンションや複合施設にリニューアルされる計画を検討しています。
つまり、団地がマンション化する動きが現実に進んでいるのです。
団地は「社会の住まい」、マンションは「個人の資産」
団地とマンションはどちらも日本の集合住宅文化を支えてきましたが、根本的な性格は異なります。
| 観点 | 団地 | マンション |
|---|---|---|
| 目的 | 住宅供給(公的または民間郊外開発) | 個人資産・都市居住 |
| 所有 | 公的または区分所有 | 区分所有 |
| 管理 | 公的管理または組合 | 管理組合 |
| 利便性 | 郊外・広い敷地 | 都心・高密度 |
| 資産性 | 低〜中 | 高 |
| 現代的価値 | コミュニティ再生・再開発対象 | 資産運用・生活拠点 |
団地は「街ごと設計された共同生活の基盤」であり、マンションは「個人のライフスタイルと資産価値を両立させる住宅」。
どちらが優れているかではなく、時代や目的によって役割が異なるという視点で捉えることが重要です。



