マンションの歴史・団地の歴史

マンションの歴史・団地の歴史
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集合住宅が日本に普及した歴史をたどってみる

マンションや団地は日本にいつからあったのでしょうか?

なんとなく戦後の焼け野原以降に突如として普及したイメージがありますが、その歴史は意外と古く、戦前から普及しはじめていたのです。

今回はそんなマンションや団地の歴史についてたどります。

まとめ

  • 日本の集合住宅は、1920年代の同潤会アパートで近代的な集合住宅に住む概念が誕生し、炭鉱都市・軍艦島では労働者向け高層住宅が形成されました。
  • 戦後は日本住宅公団(現UR)が全国に団地を建設し、住宅不足を解消。1960年代以降は民間デベロッパーが分譲マンションを展開し、都市型住宅として普及しました。
  • 団地が「公的住宅の象徴」なら、マンションは「個人資産の象徴」と言えます。
  • 現在は両者とも老朽化や再生の課題を抱え、リノベーションや再開発によって「長寿命化と共存の時代」を迎えています。

日本の「集合住宅」は社会を映す鏡

現在、日本の都市にはマンションや団地が立ち並び、集合住宅で暮らすことは当たり前の選択肢になっています。

しかし、もともと日本人の住宅観は「戸建て志向」が強く、集合住宅の定着には100年以上の時間がかかりました。

その変遷は単なる建築史ではなく、社会構造・経済発展・住宅政策の歴史でもあります。

ここでは、戦前の「同潤会アパート」や「軍艦島」から、戦後の「団地ブーム」、そして現代の「分譲マンション」へと続く日本の集合住宅の進化の軌跡をたどります。

戦前:日本最初の本格的集合住宅「同潤会アパート」

大正末期〜昭和初期、日本に集合住宅の思想が芽生える

関東大震災(1923年)によって、東京の住宅は甚大な被害を受けました。この復興を契機に設立されたのが、財団法人同潤会(1924年設立)です。

同潤会は「衛生的で耐震・耐火性のある住宅」を供給することを目的に、日本初の鉄筋コンクリート(RC)造集合住宅を次々に建設しました。

代表的な同潤会アパート

  • 青山アパート(1926年)
  • 江戸川アパート(1934年)
  • 代官山アパート(1927年)
  • 上野下アパート(1929年) など
同潤会青山アパート

これらはトイレ・台所・ベランダ、一部には共同浴場も備え、当時としては革命的な「近代的集合住宅」でした。中庭・廊下・などを備えた造りは、後の「団地」の原型にもなります。

同潤会アパートは耐震性・衛生性・共同性の面で極めて先進的であり、日本の都市型集合住宅の出発点と評価されています。

特に同潤会青山アパートに関しては2003年まで現存し、ショップ等が入る観光名所としても長期間に渡って利用された建物でした。

産業労働者住宅の象徴「軍艦島」もう一つの集合住宅

同時期、もう一つの流れとして誕生したのが、炭鉱住宅としての集合住宅です。

長崎県端島、通称「軍艦島」はその象徴となります。明治末期から昭和中期にかけて三菱が開発した炭鉱島で、人口密度は83,600人/km2と世界一を誇る人口密度で多くの人が暮らしていました。

ここでは、1918年に日本初のRC造高層住宅が9階建てで建設され、以降、次々と高層集合住宅が立ち並びました。

つまり「軍艦島」は、労働者向けの集合住宅を縦方向に積み上げた最初の事例とも言えます。

軍艦島の住環境は、銭湯・学校・商店まで揃い、“完全なミニ都市”として機能していました。

公的・民間を問わず、「集合住宅が都市機能を内包する」という発想は、のちの団地・ニュータウン構想に通じています。

戦後:住宅不足と「日本住宅公団」の誕生

焼け野原からの出発

第二次世界大戦後、日本は深刻な住宅難に直面しました。住宅は戦災で焼失し、地方から都市へ人口が急増しました。

1955(昭和 30)年時点で約 284 万戸不足していたとされます。4人家族にしてみると約1,000万人分、同時期の人口が8,000万人程度であるため、8人に1人が住む家が無い状況です。

この状況を解決するため、1955年に日本住宅公団(現UR都市機構)が設立され、国主導で住宅を大量供給する体制が整います。

「団地」の誕生

公団が建設した集合住宅群が「団地」です。1955年頃から分譲を開始した大規模団地である八千代台団地はその代表格です。

それまでの長屋型住宅から一転、緑地・道路・学校・商店街まで備えた“街としての住宅”が生まれました。

これこそが、日本の戦後住宅政策の象徴「団地文化」の始まりです。

Google Map

団地ブームと“夢の暮らし”

1960〜1970年代、高度経済成長期。公団・公営・公社住宅を中心に、全国で団地が建設されました。

  • 千里ニュータウン(大阪府)1962年
  • 多摩ニュータウン(東京都)1971年

団地は中流家庭の憧れとなり、エレベーター・ベランダ・浴室付きの生活は「豊かさの象徴」でした。

また、団地は地域コミュニティを育む役割も果たしました。子どもが安全に遊べる中庭や広場、
自治会や祭りなど、新しい都市型の共同生活が誕生したのです。

民間分譲マンションの時代へ:高度経済成長とともに

団地が公的住宅として普及する一方で、民間企業も都市部で分譲集合住宅の開発を始めました。

1956年には「四谷コーポラス」が竣工し、これが日本初の民間分譲マンションとされています。当時の価格で230万円となり、高級住宅として分譲されています。

その後、1960年代には長谷工コーポレーションが施工・販売・管理を一体化した“マンション事業モデル”を確立。

1970年代には「ライオンズマンション(大京)」が登場し、分譲マンションが都市生活者のスタンダードとなります。

団地が「公的住宅の供給」であったのに対し、マンションは「民間の資産形成住宅」として急速に発展しました。

1980〜90年代:バブル経済と高級マンションの登場

バブル経済期、都市の地価は急騰。都心で戸建てを持つことが困難になり、「タワーマンション」「高級マンション」が新たな住まいの象徴となります。

この時代には、

  • 都心の高層化(赤坂・六本木・代官山など)
  • 24時間管理・オートロックなど新設備の普及
  • 住宅ローンの多様化

が進み、マンションは「富裕層の都心住宅」へと位置づけられました。一方、郊外の団地では空室や高齢化が進み、次第に“古びた住宅”とみなされるようになっていきます。

2000年代〜現在:再生とリノベーションの時代

21世紀に入り、住宅市場は大きく変化しました。

団地の再生

日本住宅公団は独立行政法人のUR都市機構となり、自治体・民間デベロッパーが連携し、老朽化した団地の建て替え・複合再開発を推進しています。

例:

  • 高島平団地(東京都板橋区)
  • 千里ニュータウン再整備(大阪府)
  • 港北ニュータウンリニューアル(横浜市)

シニア・子育て世代・学生・外国人が共存する多世代コミュニティ型団地への転換が進んでいます。

マンションの老朽化と再構築

同時に、築40年以上の分譲マンションも増加しており、国土交通省の調査では、2040年には全体の約4割が築40年超となる見込みです。

管理組合の機能低下・建て替え合意の難しさなど、団地と同じ課題を抱え始めています。

一方で、リノベーションやリフォーム技術の進化により、古いマンションの再生価値も高まりました。「中古×リノベ」という新しい市場も拡大しています。

団地とマンションの“本質的な違い”と“共通点”

観点団地マンション
起源公的住宅(日本住宅公団・自治体)民間分譲住宅(デベロッパー)
構造低〜中層・広い敷地中〜高層・都市型
主目的住宅供給・社会政策利便性・資産形成
管理公的管理 or 管理組合管理組合+会社
居住層中間層〜高齢層中心共働き世代・富裕層中心
再生方向建て替え・リノベーション長寿命化・管理再編

もともと団地が「国民に住まいを与える」ために生まれたのに対し、マンションは「個人が資産として所有する」ために発展しました。

しかし、現在では両者とも老朽化・管理・再生という共通課題を抱え、再び“住宅の社会的価値”が問われる時代に入っています。

同潤会から公団へ、そして未来の都市住宅へ

同潤会アパートは「日本の集合住宅の始まり」であり、軍艦島は「産業社会が生んだ縦型住宅の原点」とも言えます。

戦後の公団団地は「住宅政策の成功例」と言え、住宅不足に大きく貢献しました。そしてマンションは日本の経済成長の象徴でした。

100年の時を経て、いま集合住宅は“建てる時代”から“活かす時代”へと移り変わっています。

建物を所有することから、街を育てることへ。団地もマンションも、都市と人をつなぐ「住まいの文化遺産」となっていくと思われます。

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