マンション共有部の経年劣化トラブルを知っておく

マンションや団地の経年劣化トラブル
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マンションも団地も自分の力だけでは修理できない共有部の管理状況が重要

マンションや団地等の共同住宅を購入する際に注意が必要なのは、自分が住む家の中である専有部内だけではなく、共有部の状況にも注意しましょう。

共有部とは階段や玄関ドアや窓サッシや共同の給排水等の自分だけの都合で交換ができない箇所です。自分の専有部内の窓サッシや玄関ドアも共有部であることを知らない人は意外と多いものです。

まとめ

  • マンションや団地の経年劣化は避けられませんが、共有部の管理状態によって資産価値は大きく変わります。
  • 外壁や配管、サッシなどは個人で修繕できず、管理組合が積立金をもとに大規模修繕を行う必要があります。
  • 修繕積立金が不足すると工事が延期され、劣化が進行しやすくなります。
  • 修繕計画と積立金が充実したマンションは見た目も機能も維持され、銀行の担保評価が高く住宅ローンも通りやすい傾向にあります。
  • 築年数よりも「管理体制と積立金の健全性」が最も重要な資産価値の指標です。

マンションや団地は「時間とともに劣化する建物」

築年数の経ったマンションや団地で起こるトラブルの多くは、「老朽化」「劣化」「設備の寿命」に起因します。

ただし、戸建て住宅と違って、マンションや団地は所有部分と共有部分が明確に分かれているのが特徴です。つまり、自分の判断で修繕できる部分と、できない部分が存在します。

この「コントロールできない共有部分の劣化」が、のちに生活トラブルや資産価値の低下につながるのです。

経年劣化とは? ― 時間が建物を蝕む“静かな老化”

経年劣化とは、建物や設備が使用や時間の経過によって自然に劣化することを指します。
外壁・配管・防水層・コンクリートなど、どんな建物にも“寿命”があります。

部位おおよその耐用年数劣化の代表的症状
外壁塗装・防水約10〜15年ひび割れ・雨漏り
配管(給排水)約20〜30年漏水・詰まり・腐食
サッシ・玄関ドア約30〜40年開閉不良・断熱性能低下
コンクリート構造体約50〜60年中性化・鉄筋腐食
屋上防水・シーリング約10〜20年雨漏り・膨れ

これらは「放っておいても進行する」ため、定期的な点検と計画的修繕が不可欠です。

マンションの劣化した配管
一度も交換されずに劣化し続けた排水管

専有部と共有部の違い ― 「自分で直せない場所」

マンションや団地では、法律上「専有部分」と「共有部分」が明確に区分されています。

区分範囲修繕の責任者
専有部分各住戸の内側(壁の内側・床・天井など)各所有者(自分で修繕可能)
共有部分外壁・屋上・配管・廊下・エレベーター・玄関ドア・サッシなど管理組合(全体で修繕)

つまり、壁紙や床の張替えは自分でできますが、配管・外壁・玄関ドア・サッシなどは個人では修繕できません。

これらは「管理組合」が行う大規模修繕によってのみ修復されるため、管理体制が悪い建物では劣化が進行しても放置されてしまうのです。

サッシの交換は共有部の工事となるケースが多い

大規模修繕が遅れると起きるトラブル例

築20年を過ぎると、多くの建物で外壁や防水の老化が進みます。しかし、積立金不足や住民の合意が得られず、修繕が後回しになるケースも多いです。

よくあるトラブル事例

  • 外壁タイルの剥落やひび割れ
     → 放置すると雨水が浸入し、鉄筋が錆びて構造体が劣化。
  • 排水管の老朽化
     → 漏水事故や下階への浸水トラブル。
  • 玄関ドア・サッシの不具合
     → 断熱性や防音性が低下、セキュリティリスクも。
  • 屋上防水の破損
     → 雨漏りが発生し、天井や壁紙が腐食。

これらは“専有部ではない”ため、個人で修繕できません。管理組合が適切に資金を積み立て、定期的に改修を行っているかが大きな分かれ目になります。

修繕積立金が足りないとどうなるか

修繕積立金が不足しているマンションでは、次のような問題が発生しやすくなります。

  1. 大規模修繕が延期される
     → 外観や防水性能が低下し、資産価値が下がる。
  2. 突発的な「一時金」徴収が発生
     → 各所有者が数十万円〜百万円単位で負担するケースも。
  3. 修繕の質が下がる
     → 安価な工事や一部のみの補修で済ませることになり、再劣化が早まる。

一方、しっかり積立が行われている大規模マンションや団地では、定期的に外壁・配管・ドア・サッシの交換を行えるため、築年数が経っても美観・機能・安全性を維持できます。

管理の良いマンションは「住宅ローン審査」でも評価

同じ築30年のマンションでも、「管理が良く修繕が行き届いている物件」と「放置されている物件」では、金融機関の評価がまったく異なります。

銀行が重視するポイント

  • 大手の管理会社が入って管理をしているか
  • 長期修繕計画が作成されているか
  • 修繕積立金残高が十分か
  • 管理組合が機能しているか(理事会・総会が定期開催されているか)
  • 過去に適切な大規模修繕が実施されているか

これらはすべて「物件の担保価値」に直結します。

銀行はマンションを“資産”として評価して融資を行うため、管理の良い物件はローンが通りやすく、評価額も高くなります。

逆に、修繕履歴のない老朽マンションや団地は「担保価値が低い」「再販リスクが高い」と判断され、ローンが組めない、または金利が上がるケースもあります。

経年劣化を防ぐ“良い管理”とは?

建物の寿命は、構造そのものよりも管理の質で決まるといわれます。良い管理組合には、次のような特徴があります。

【良い管理組合の条件】

  1. 長期修繕計画を定期見直ししている
     10〜15年スパンで改定し、次の工事を見越して資金計画を立てる。
  2. 修繕積立金の値上げを先延ばしにしない
     初期設定が低すぎる場合、早めに見直しを行う。
  3. 専門家(建築士・マンション管理士)を交えて議論している
     感情論ではなく、専門的な根拠に基づいた修繕方針を決める。
  4. 工事業者を複数比較・入札で選定している
     適正価格で高品質の修繕を行う。

このような体制がある建物は、
「住み心地」「安全性」「資産性」すべてが長期的に安定します。

団地でも同様 ― 共有部の維持が資産価値を決める

団地もマンションと同じく、共有部の劣化が資産価値を左右します。特に築50年を超える団地では、配管・防水・外壁の修繕が重要です。

例えば、神奈川県の団地は特に大規模な団地が多いため、長期修繕計画と積立金管理が明確で、計画的な修繕が行われているケースが多いです。

ですが、都心から遠く離れた郊外の団地では既に過疎化が進んでおり、まともな管理が行われていない団地もあります。

分譲団地の場合は管理組合の力量次第で状況が異なり、修繕積立金が枯渇すると建物の老朽化が一気に進行します。

築年数が古い=悪い物件ではなく、「修繕が適切に行われているか」が最重要ポイントになります。

中古マンション購入時に必ず確認したい項目

中古マンション・団地を検討する際には、価格や間取りよりも、まず「建物の管理状態」を確認しましょう。

チェックリスト

  • 管理組合の会計報告書に「修繕積立金残高」が十分あるか
  • 過去10年以内に大規模修繕が実施されているか
  • サッシ・玄関ドアなど共用部が更新されているか
  • 長期修繕計画が策定され、次の工事予定が明記されているか
  • 管理会社の評判(対応・清掃・報告体制)

これらを不動産会社や管理組合に確認するだけで、「買っても安心できるマンション」かどうかが見えてきます。

建物の“共有する部分”が将来の資産を決める

マンションや団地の経年劣化は避けられません。しかし、そのスピードと影響は管理体制と積立金の有無で大きく変わります。

比較項目管理が良いマンション管理が悪いマンション
大規模修繕定期実施延期・簡易補修
外観・共用部清潔で明るい汚れ・ヒビ割れ多い
サッシ・玄関ドア更新済み老朽化
住宅ローン通りやすい審査落ち・低評価
資産価値維持・上昇下落・流通困難

修繕積立金は一見「毎月の負担」に見えますが、実際には建物の価値を守るための“共通保険料”のようなものです。

築年数よりも、「どれだけ大切に管理されてきたか」。これこそが、マンション・団地の資産価値を左右する最重要ポイントです。

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