「壁式構造」「ラーメン構造」どちらが良い?
マンションの住み心地を決める構造の話
マンションの専有部である壁内の構造に「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。簡単に言えば、コンクリートの柱で壁を作っているのが「ラーメン構造」になります。
それに対して、「壁式構造」は大きな壁を室内に複数作り、構造を支える造りになります。
「どちらであっても気にならない」という意見があるかもしれませんが、実は将来リノベーションやリフォームをする際に大きな影響が出てきます。
まとめ
- マンションの構造は「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類があります。
- ラーメン構造は柱と梁で建物を支える骨組み型で、間取りの自由度が高くリノベーション向き。開放的な空間設計や大きな窓が可能で、中高層マンションに多く採用されています。
- 一方、壁式構造は壁そのもので建物を支える箱型構造で、防音性と耐震性に優れ、静かで安心感のある住まいを実現しますが、間取り変更は難しいです。
- リフォームの自由度を求めるならラーメン構造、静かな暮らしを重視するなら壁式構造が最適です。
同じマンションでも「構造」で住み心地が変わる
マンション選びでは、立地や間取り、築年数に目が行きがちです。しかし、実際の住み心地を左右するのは、壁や柱の“構造の違い”かもしれません。
特に日本のマンションでは、ラーメン構造と壁式構造という2つの方式が主流です。どちらも鉄筋コンクリート造(RC造)ですが、建物を支える仕組みが根本的に異なり、
「耐震性」「間取りの自由度」「防音性」「リフォーム性」に差が出ます。
ラーメン構造とは ― 柱と梁で支える“骨組み型”の構造
■ 構造の基本
ラーメン構造は、柱と梁(はり)で建物を支える構造方式です。鉄筋コンクリートや鉄骨でできたフレームが建物の骨組みとなり、その中に壁や窓、間仕切りを自由に配置します。
「ラーメン」とはドイツ語の“Rahmen(フレーム)”に由来し、骨組み構造を意味します。

■ 特徴とメリット
- 間取りの自由度が高い
壁が構造体として建物を支えるわけではないため、 間仕切り壁にコンクリートでできた躯体構造がないため、間取りを変えるリフォームやリノベーション工事がしやすい。 - 開口部(窓)が大きく取れる
外壁に柱と梁で強度を確保しているため、 壁を大きくくり抜いた採光・眺望重視の設計が可能。

■ デメリット
- 梁の出っ張りが室内に現れる
天井や部屋の角に梁が見えることがあり、インテリアに制約が出る。 - 防音性は壁式構造に劣ることも
壁が薄くなる部分があるため、上下階や隣室の音が伝わりやすいケースも。
壁式構造とは ― 壁そのものが建物を支える“箱型構造”
■ 構造の基本
壁式構造は、壁そのものが建物を支える構造方式です。柱や梁ではなく、耐力壁と呼ばれるコンクリート壁で建物全体を箱のように支えます。
この方式は主に5階建て以下の中低層マンションや団地で多く採用されています。

■ 特徴とメリット
- 防音性が高い
壁が厚く、隣室との間に構造壁があるため音が伝わりにくい。上下階の床スラブも厚いため、生活音に強い。 - 耐震性に優れる
建物全体を箱状に支えるため、地震の横揺れにも強い。揺れを全体に分散し、倒壊しにくい構造。 - 梁の出っ張りが少なく、すっきりした空間
天井がフラットに仕上がりやすく、部屋が広く感じられる。
■ デメリット
- 間取り変更が難しい
構造壁を撤去できないため、リノベーションの自由度が低い。部屋の拡張やオープンキッチン化が制限されることも。 - 開口部が小さくなりがち
壁が建物を支えるため、大きなドアの開口部を作る工事が難しい。


4. ラーメン構造と壁式構造の違いを比較
| 比較項目 | ラーメン構造 | 壁式構造 |
|---|---|---|
| 構造の支え方 | 柱と梁の骨組みで支える | 壁全体で支える |
| 階数 | 中高層(6階〜)に多い | 低層(〜5階)に多い |
| 間取りの自由度 | 高い(リフォームしやすい) | 低い(構造壁撤去不可) |
| 防音性 | 一般的(床厚・施工精度で差) | 高い(壁が厚く音が伝わりにくい) |
| 耐震性 | 柱・梁の接合強度で確保 | 箱全体で揺れを分散し強い |
| 開口部(窓) | 大きく取れる | 小さめになりやすい |
| 見た目・天井 | 梁の出っ張りがある | 天井がすっきり |
| リノベーション | 向いている | 難しい |
防音性・耐震性・リフォーム性の観点
■ 防音性:壁式構造が優位
コンクリート壁で囲われた壁式構造は、隣室や上下階の音を遮る性能が高いです。分厚い構造壁が音の伝達を物理的に遮断するため、静かな環境を保ちやすいと言えます。
一方、ラーメン構造は壁が構造体ではない分、遮音性は施工精度に左右されやすく、「二重床」「二重天井」などの防音設計が重要です。
■ 耐震性:どちらも高いが、揺れ方が異なる
- ラーメン構造はしなやかに変形して地震エネルギーを吸収。
- 壁式構造は剛性が高く、全体で揺れを分散。
つまり、ラーメン構造は「揺れるが壊れにくい」、壁式構造は「揺れにくく崩れにくい」という特徴があります。
■ リフォーム性:ラーメン構造が圧倒的に有利
室内を仕切る壁が無いため、リフォームやリノベーションの選択肢は広がります。
・間取りの変更
・部屋の拡張
・スケルトンリノベーション
が自由にできます。
壁式構造は構造壁を動かせないため、間取りの変更が難しく、同様に、水回りの移動や大幅な改装も難しくなります。
構造別おすすめタイプ
| こんな人におすすめ | 構造タイプ |
|---|---|
| 将来リノベーションしたい人 | ラーメン構造 |
| 静かに暮らしたい・防音重視 | 壁式構造 |
| 採光や開放感を重視したい | ラーメン構造 |
| 地震に強い低層マンションが希望 | 壁式構造 |
| 都心の中高層タワー型を選びたい | ラーメン構造 |
| 天井高がすっきりした部屋が好き | 壁式構造 |
実際の採用傾向と今後のトレンド
近年のマンション開発では、中高層=ラーメン構造、低層=壁式構造という住み分けが定着しています。
- 都心部のタワーマンション → ラーメン構造(SRC・RC併用)
- 郊外や団地リノベーション → 壁式構造(耐久性重視)
また、省エネ・ZEH対応などの流れから、「遮音性・断熱性を高めた壁式構造」が再評価されつつあります。
見えない“構造”が住み心地を決める
ラーメン構造と壁式構造は、どちらが優れているというより、求める暮らし方によって最適解が異なります。
| 比較観点 | ラーメン構造 | 壁式構造 |
|---|---|---|
| 自由度・開放感 | ◎ | △ |
| 防音性・静けさ | ◯ | ◎ |
| 耐震性 | ◎(しなやか) | ◎(剛強) |
| リフォームのしやすさ | ◎ | × |
| デザイン・採光 | ◎ | △ |
「間取りを自由に変えたい人」はラーメン構造を、
「静かに長く住みたい人」は壁式構造を選ぶのが正解です。
見えない構造の違いを理解しておくことで、マンション購入やリノベーションの判断がより確実になります。



