マンションの防音性能は構造で決まる?
自分でもできるマンションの防音性を上げる二重床・二重天井・サッシの仕組みを知っておく
マンションを購入するにあたり、誰もが防音性を気にします。一般的には建物本来の構造であったり、上下左右の住民に子供がいるか否かが主な騒音の懸念点になる事が多いです。
建物本来の構造であったり、周辺の家族構成はいくら努力しても変える事の出来ない問題です。ですが、室内の自分が住む専有部内だけでも防音性能を上げる方法はいくつかあります。
購入時に建物をチェックしたり、将来リノベーションをするうえで参考にもなる情報です。
まとめ
- マンションの防音性能は壁や床の厚さだけでなく、構造と設備設計によって大きく変わります。
- RC造やSRC造は遮音性に優れ、二重床や二重天井を採用すれば上下階の生活音を軽減できます。
- さらに、窓に内窓(インナーサッシ)を追加したり、ペアガラスに交換することで外部騒音の侵入も抑えられます。
- タワーマンションは構造的に防音性能が高い傾向がありますが、築古物件でも専有部のリフォームによって快適な静けさを確保することが可能です。
- 静かな住環境は建物本来の構造に加えて、リノベーションでもつくる事ができます。
マンションの「静けさ」は構造で決まる?
マンションに暮らしていると、上階からの足音や生活音、隣室からのテレビの音など、「音のストレス」を感じる人は少なくありません。
ただし、防音性能は単に「壁の厚さ」だけで決まるものではありません。建物の構造・床天井の仕組み・窓サッシの仕様など、複数の要素が複雑に関係しています。
「構造によってなぜ音の伝わり方が違うのか」、「リフォームで防音性を高める方法はあるのか」、マンションの防音に関する機能や改善策を解説していきます
防音性能は“構造”で半分決まる
■ RC造・SRC造・鉄骨造での違い
マンションの防音性能は、建物の構造種別によって大きく異なります。
| 構造 | 特徴 | 防音性 |
|---|---|---|
| RC造(鉄筋コンクリート造) | コンクリート壁・床が厚く、遮音性が高い | ◎ |
| SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) | 高層向け構造。鉄骨+RCで剛性と遮音性が両立 | ◎〜◯ |
| 鉄骨造 | 軽量鉄骨・ALC壁が多く、音が伝わりやすい | △ |
RC造やSRC造は、コンクリートの密度が高く、空気振動や衝撃音を吸収しにくいため防音性が高いです。
特にタワーマンションでは、外壁・床スラブ(構造床)厚が250mmから300㎜以上あるケースも多く、音の伝達を構造的に抑える仕組みになっています。
「壁厚・床厚」だけで判断できない防音の実態
防音性能を測る際、「壁の厚さ」「床の厚さ」がよく話題になります。確かに厚いほど音を伝えにくいのは事実ですが、実際には構造形式や接合部分の設計も大きく影響します。
例えば、壁厚が十分でも「共用配管シャフト」「コンセントボックス」「換気口」などから音が伝わるケースもあります。また、床スラブが厚くても、直貼りフローリングの場合は衝撃音(L値)が高くなりやすいという課題も。
つまり、床や壁の厚みだけでは快適な静けさは保証されないのです。
「二重床」「二重天井」がもたらす防音効果
■ 二重床とは?
二重床とは、コンクリートスラブ(構造床)の上にもう一層、支持脚を立てて仕上げ材を浮かせる構造です。
これにより、床材と構造体が直接接触しないため、足音や振動が下の階に伝わりにくくなります。
また、配線・配管スペースを確保できるため、リフォーム性にも優れています。
■ 二重天井とは?
同様に、二重天井はコンクリート躯体から吊りボルトで天井下地を吊るし、空気層をつくる構造です。上階の衝撃音を直接受けにくくし、空気層が音を吸収する効果を持ちます。
天井の照明位置を自由に決められるメリットもあります。
■ 二重構造のメリットまとめ
| 項目 | 二重床・二重天井あり | 直貼り構造 |
|---|---|---|
| 防音性能 | 衝撃音が減少 | 音が伝わりやすい |
| メンテナンス | 配線・配管交換が容易 | 構造体を壊す必要あり |
| コスト | 高い(新築時に採用が多い) | 低コストだが将来不利 |
新築時点で二重床・二重天井を採用しているマンションは、上階・下階の生活音ストレスが少なく、資産価値が下がりにくい傾向があります。

サッシと窓ガラスも“防音のカギ”
マンションの防音性能は、壁よりもむしろ窓からの音の出入りで決まることもあります。一般的なアルミサッシ+単板ガラスでは、外の車や電車の音を通しやすく、冷暖房効率も下がります。
■ 防音効果を高める窓のリフォーム方法
- インナーサッシ(二重窓)を設置する
既存のサッシの内側に、もう1枚サッシを取り付ける方法。
(例:LIXIL「インプラス」、YKK AP「プラマードU」など)
→ 防音+断熱効果を同時に高められる。 - 複層ガラス(ペアガラス・トリプルガラス)に交換する
ガラス間に空気層や樹脂中間膜を挟むことで、音と熱の伝達を防止。
ただし、単板ガラスからの交換となるため、対応できる複層ガラスの種類が限られます。 - サッシ枠の気密性を改善する
ゴムパッキンや戸車の劣化は音漏れの原因。交換・調整で大きく改善できる。
これらのリフォームは専有部内の工事として行えるため、築年数の経ったマンションでも比較的容易に実施できます。

防音性が高いマンションの共通点
防音に優れたマンションには、次のような特徴があります。
- RC造またはSRC造である
→ 構造体が厚く、音が伝わりにくい。 - 二重床・二重天井構造を採用している
→ 衝撃音を低減し、上階の足音が響きにくい。 - 遮音フローリング・制振材を使用している
→ フローリング下に防音マットなどを敷設している。 - 窓がペアガラス・インナーサッシ仕様
→ 外部騒音の侵入を大幅に軽減。 - 高層階ほど静か
→ タワーマンションは構造的に剛性が高く、外部騒音も届きにくい。
特にタワーマンションはSRC造や制振構造を採用していることが多く、外気の影響も少ないため、総合的に防音性が高い傾向があります。

リフォームでできる防音対策
新築時点で防音構造が整っていなくても、専有部分のリフォームで防音性を向上させることが可能です。
具体的な方法
- 置床工法でリノベーションをする
→ 衝撃音を吸収し、階下への音漏れを軽減。 - 二重天井にリノベーションをする
→ 反響音を抑え、室内の音環境を改善。 - 天井裏に吸音材を充填
→ 二重天井の隙間に吸音材を入れて生活音を和らげる。 - 壁の石膏ボードを二重張りにする
→ 壁厚を厚くすることで隣からの騒音を防ぐ - 内窓(二重サッシ)の設置
→ 外部騒音・隣接道路の音を低減。
ただし、構造体に手を加えるリフォーム(床スラブを削る・躯体に穴を開けるなど)は禁止されているため、「専有部の範囲でできる防音リフォーム」が前提となります。
楽器等が弾けるようにするための防音室工事をマンションで行う事もあり、そういったケースでは上記のような工事をより過剰に実施します。
一例をあげると天井壁は専用吸音材を入れ、ドア等の建具も防音性の高いものにします。

防音トラブルを防ぐためのチェックポイント
中古マンションを購入する際や賃貸で住み替える際は、以下の点を確認しておくとトラブル防止になります。
| チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 床構造(二重床 or 直貼り) | 不動産会社・管理会社に仕様書を確認 |
| サッシの種類 | ペアガラス・内窓の有無をチェック |
| 壁構造 | 隣室との間がコンクリート壁か軽量間仕切りか |
| 管理規約 | 床材変更の制限(L値規定など)を確認 |
| 管理組合の対応 | 騒音苦情へのルール・方針を確認 |
特に管理規約には、フローリング材の遮音性能(L-45など)を指定している場合があり、違反するとリフォーム後にトラブルになるケースもあります。
静けさは“構造+施工”でつくるもの
防音性の高いマンションは、単に「壁が厚い」だけではなく、構造・床・天井・窓のすべてが連動して静かな空間を生み出しています。
| 要素 | 防音への貢献度 | 改善方法 |
|---|---|---|
| 構造(RC・SRC) | ◎ | 構造選びで決まる |
| 二重床・二重天井 | ◎ | 新築設計 or 一部改修 |
| 窓サッシ・ガラス | ○ | 内窓・ペアガラス追加 |
| フローリング材 | ○ | 防音仕様に変更 |
| インテリア(カーテン・ラグ) | △ | 吸音材で補助的対策 |
防音性は“後から完全に作る”ことは難しくても、リノベーション等で快適な静けさを得ることもできます。
新築マンションを選ぶ際は「構造と仕様の確認」、既存マンションでは「リフォームによる改善」を意識することで、長く快適に暮らせる“静かな住まい”を実現できます。



