外国人の不動産購入規制、海外調査を開始へ、海外の現在の規制状況はどうなっているのか?
外国人の不動産購入規制が世界で進む今、日本はどう対応すべきか
住宅を一般的に“資産”としてとらえられていますが、国全体から見ると、国土を守るための領地であり、快適な暮らしを維持するための“社会インフラ”としての機能があります。
これが、無秩序に日本に居住していない外国人に売られてしまうと様々な弊害が生じてきます。
政府はこのような現状を踏まえ、海外の不動産購入規制の調査を開始することを2025年10月に発表しました。
なぜ、外国人による不動産購入が問題なのか?
近年、日本国内でも「外国人が日本の土地・不動産を大量に購入している」という報道が増えています。
特に観光地や都市中心部、北海道・沖縄などでは、外国資本による不動産取得が目立ち、「住宅価格の高騰」「地域のコミュニティ喪失」「安全保障上の懸念」などが指摘されています。
世界的にも、コロナ禍を経て各国の富裕層マネーが不動産へ流れ、現地住民が住宅を買えなくなる“住宅難民化”が社会問題化しています。
このため、欧米・アジア各国ではすでに 外国人の不動産購入を制限・規制する法制度 が整備され始めています。
特に、過剰に外国人に土地を売り続けると、結果的に経済的を介した領地の占領をされてしまうリスクもあるため、防衛的にも大きな問題として捉えれています。
結論から言うと、海外は以前から日本よりもはるかに警戒感を持って規制を強化しています。
世界の主要都市が導入する外国人不動産規制の実例
カナダ:外国人住宅購入を全面禁止(2023年〜)
カナダでは2023年1月から、非居住者による住宅購入を原則禁止する法律を施行しています。当初2年間の時限措置でしたが、2027年まで延長が決定されました。投資目的での住宅取得を抑え、地元住民の居住確保を最優先するためです。
ただし、就労許可証保有者や永住権保有者には例外があります。
また、ブリティッシュコロンビア州やオンタリオ州では、外国人購入者に追加課税(Foreign Buyer Tax)を課すなど、地方税制でも厳格化しています。実際に住宅価格の上昇ペースが鈍化するなど、一定の効果を上げています。
オーストラリア:既存住宅の購入を原則禁止
オーストラリアでは、外国人が既築住宅(中古住宅)を購入することは禁止されています。
新築物件や開発用地の購入のみが認められ、すべて FIRB(外国投資審査委員会) の許可が必要。禁止措置を2027年3月31日以降も延長すべきかどうかを検討されています。
さらに、外国人所有者には空き家税や印紙税の上乗せが課される州もあり、「住まない家」を減らす政策的狙いが明確です。
この制度は、「外国マネーが都市の住宅市場を占領し、若者が家を買えない」という社会問題を背景に導入されました。
ただし、このような政策の中でもオーストラリアの不動産価格は高止まりしており、若者が家を買えないどころか、借りるのにも高額な家賃を払わないとならない状況が続いています。
ニュージーランド:既存住宅の購入を全面禁止
2018年のOverseas Investment Amendment Actにより、外国人は既存住宅を購入できなくなりました。自ら居住するための一戸のみ特例で認められる場合がありますが、基本的には投資目的の不動産取得は禁止です。
人口500万人という少ない国民の国で、外国資本による住宅価格上昇が深刻だったため、“投資より居住を優先する”という明確な政策方針が打ち出されました。
シンガポール:土地付き住宅は外国人購入に政府承認が必要
シンガポールでは国土が狭いため、土地付き住宅(Landed Property) の購入は原則として外国人に認められていません。
例外的に政府の承認(Residential Property Actによる)を受けた場合のみ可能です。
一方で、コンドミニアムなどの集合住宅は購入できますが、外国人に対しては追加印紙税(ABSD)60%が課され、実質的には強い参入制限があります。
土地供給が限られる都市国家らしく、「外国資本による地価上昇は国益を損なう」との考えが根底にあります。
注目すべきはシンガポールは国際都市として外国人が自国で働く事に関しては基本歓迎する姿勢の国ですが、不動産に対しては規制をしっかりと敷き、権利を線引きしているという点です。
ロンドン(英国):透明性と課税で実質的に規制
英国では外国人の不動産所有自体は禁止されていませんが、2022年に成立した Economic Crime (Transparency and Enforcement) Act により、海外法人が不動産を所有する場合は最終受益者(Beneficial Owner)の登録が義務化されました。
これにより、匿名による不動産投資を防ぎ、マネーロンダリング対策を強化。
また、非居住者による住宅購入には印紙税(Stamp Duty Land Tax)を2%上乗せするなど、実質的に外国人への課税強化を通じて参入を抑制しています。
パリ(フランス):購入制限はないが「家賃規制」で投機を抑制
フランスでは、外国人の不動産購入に法的制限はほとんどありません。しかし、パリでは「家賃上限制度(Encadrement des Loyers)」を導入し、住宅を投機対象ではなく、社会的資産として位置づけています。
パリ市内の家賃は、地域ごとに基準額が設定され、貸主はその+20%を超える賃料を設定できません。
この制度があることで、「不動産を投資目的で保有しても利回りが出にくい」構造が生まれ、結果的に外国人投資家による過剰な買い占めを抑える効果を発揮しています。
世界各都市の比較まとめ
| 都市・国 | 外国人の不動産購入規制 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| カナダ | 住宅購入を原則禁止(2023〜2027) | 住宅価格の安定 | 全国法で明確に規制 |
| オーストラリア | 既存住宅の購入を原則禁止 | 住宅供給の確保 | 新築のみ許可、許認可制 |
| ニュージーランド | 既存住宅を外国人購入禁止 | 若年層の住宅確保 | 居住目的のみ例外 |
| シンガポール | 土地付き住宅は承認制、追加課税 | 国土保全・投機抑止 | 政府承認+重課税 |
| ロンドン(英国) | 所有可だが登記義務・課税強化 | 透明性・脱税防止 | 所有情報の公開 |
| パリ(フランス) | 所有可だが家賃規制で投機制限 | 居住権の保護 | 家賃上限制度が有効 |
日本はどうすべきか
日本は現在、外国人による土地・不動産購入に実質的な制限がほぼ存在しない数少ない先進国の一つです。現状では、「外為法」や「土地利用規制法」によって安全保障上の観点から一部地域(防衛施設周辺など)での届出義務はありますが、一般的な住宅・土地取引は自由に行えます。
しかし、
- 都市部のタワーマンションを中心とした、住宅価格の上昇
- ニセコをはじめとした観光地のリゾート用地の買い占め
- 農地や森林、インフラ近接地の所有
といった問題が顕在化しており、国民の間でも「外国人購入を一定程度コントロールすべき」という声が高まっています。
日本が取りうる3つの政策方向
① 「許可制・登録制」の導入
シンガポールやオーストラリアのように、外国人が土地付き不動産を購入する際には国の承認制度を設ける。
観光地・防衛関連エリアなどでは特に慎重審査を行い、土地の「所有」ではなく「利用」に重点を置く制度設計が望まれます。
② 「追加課税・空き家税」の導入
外国人所有の住宅・土地に対して固定資産税の上乗せや非居住所有税を課すことで、短期投機を抑制し、居住目的の購入を促す。
また、放置された別荘・空き家には空置課税を行うことで地域維持にもつなげることができます。
③ 「運用制限型」の発想(パリ型家賃規制)
外国人投資を直接禁止するのではなく、収益性を抑える仕組みで投機を制御する。たとえば、短期賃貸(Airbnbなど)の営業回数制限や、一定エリアでの家賃上限制度導入は、外国資本の過熱を和らげる現実的な選択肢です。
いずれも共通するのは、現段階では投資目的で日本の不動産を購入する外国人が多いため、投資によるメリットを減らせば購入者は必然的に減るという方向性の規制です。
日本も「開かれた市場」から「持続可能な市場」へ
今や、世界の主要都市は「不動産=国家資源」として扱い始めています。自由化を進めた結果、住宅が投機対象になり、地元の人々が住めなくなるという事態を経験したからです。
また、防衛面においても不動産を通して、実質的な領土の占領にあたるリスクを回避したいという考えはどの先進国にもあります。
日本も、これまでの「開かれた市場」政策を見直し、外国資本を無条件に歓迎するのではなく、
透明性・公平性・地域社会への還元性を前提とした持続可能な制度設計が必要です。
住宅は投資商品ではなく、人が暮らす基盤です。世界の都市が示す方向性は、「守るべきは不動産市場よりも不動産を活用する国民の生活」であることを教えています。

