国土交通省が取り組む空き家対策まとめ
国土交通省が進める空き家対策のいま
国土交通省や各地方自治体を中心にさまざまな空き家対策に取り組んでいます。ここでは国土交通省の空き家対策に絞って御紹介します。
まだまだ具体的ではない
結論から言うと、税制面の優遇や、放置された空き家に対する罰則的なペナルティ等は徐々に整備されいてますが、根本的に空き家を解決する施策にはまだほど遠いです。
空き家を活用するという視点においては、民間企業のアイデアを募っているだけで、具体的な大きなアクションにつながるような補助金等の具体策はまだ明確には出ていません。
当然、各自治体等でリフォームの補助金等を給付したりはありますが、地域限定であったり、リフォーム自体に対する補助金も部分的なものです。
例えばですが、「民泊の宿泊日数規制を緩和する」ような具体的に空き家を活用する人が増えそうな大きな枠組みの施策をしないと、空き家の流通自体が上向きになる事は無いように感じます。
補助金等の税金を投入するだけではなく、空き家を使ってビジネスをする人を増やさないと、特に人があまり居住していないエリアの空き家の流通には限界があるのではないかと思うのです。
例えば、イタリアではオーバーツーリズムによる観光客増に対して、建築規制が厳しいため、新しいホテルをあまり建てられないという制約があります。
そのため、B&Bという民泊に似た空き家を活用した個人経営のホテルが地方の観光地を中心に多数存在します。
イタリアのアマルフィ海岸等は大きな建物がほとんど建てられないため、大手ホテルの進出が難しく、B&Bが多く点在しており、世界中の富裕層が宿泊しています。
民泊のように、誰も管理せずに好き勝手に宿泊させるのではなく、チェックイン時には顔合わせをしますし、朝食の提供等も行うので限りなくホテルに近い形態で運営しています。
そのため、近隣からの苦情で大きなトラブルになる事も少ないのです。そういった、日本全体に税金をかけずにうまく空き家を活用できるような法規制の緩和も必要ではないかと思います。

法令等の全体像
- 空き家対策は「特別措置法」を軸に運用されています。2023年(令和5年)の法改正が施行済みで、運用ガイドや指針も改定されています。令和7年5月30日時点の情報を紹介します。
引用:国土交通省 - 制度は「法律・省令・告示(基本指針)・ガイドライン」で構成。法改正案内や改正後の基準、運用ガイドが公開されています。
参考:ページ内には
・法律本体(特措法)と改正のお知らせ、
・施行規則・省令
・基本指針・告示
・「管理不全空家等・特定空家等」への措置ガイドライン、が並びます。
ここまで聞いてもピンとこないと思うので、それぞれを解説していきます。
主要な政策
- 管理不全空家等/特定空家等
放置で周囲に悪影響を及ぼす恐れのある空き家(管理不全)や、著しく危険・衛生上問題な空き家(特定)の区分。自治体が指導・勧告・命令・行政代執行等の措置を取り得るためのガイドラインです。 - 空き家データベース
自治体が所有者情報や物件情報を整理・活用できる標準仕様を国が提示しています。今後の空き家対策の土台づくりとも言えます。 - 管理活用支援法人/活用促進区域
自治体が指定・設定し、空き家の利活用を後押しする枠組みで自治体が指定し、区域設定の状況一覧が公表されています。
所有者が空家の活用や管理について相談等できる環境が十分でなかったり、多くの市区町村では人員も不足しています。
そのため、所有者への働きかけ等が十分にできない等の課題に対して、市区町村が、空家の活用や管理に取り組むNPO法人、社団法人、会社等を「空家等管理活用支援法人」に指定します。
当該法人が所有者への相談対応や、所有者と活用希望者のマッチングなどを行います。 - 財政支援・税制特例
国の補助メニュー(自治体・民間向け)や、固定資産税・譲渡特例(3,000万円控除など)が整備。
所有者向け
- 税制特例(売る時・更地にする時)
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
要件を満たす空き家売却で譲渡益から最大3,000万円控除します。
相続の場合、被相続人の居住の用に供していた家屋及びその敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして当該家屋又は土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。 - 固定資産税の措置
固定資産税等の住宅用地特例は、住宅政策上の見地から、居住の用に供する住宅用地について税負担の軽減を図るために設けられた措置であり、土地が住宅用地に該当する場合には、固定資産税等が本来、減額される。
ただし、市区町村長から勧告を受けた特定空家の敷地について、住宅用地特例の適用対象から除外する措置を講じる。つまり、空き家を放置して迷惑をかけた場合には固定資産税の減額対象としない。
- 空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除
- 「管理不全」判定を避ける最低ライン
草木の繁茂、外壁・屋根の破損、ゴミ・害獣対策、雨漏り・腐朽の放置は指導の対象になりえます。自治体はガイドラインに沿って運用します。定期見回り・応急修繕・近隣苦情の早期対応が重要です。 - 相談窓口の見つけ方
国の特設ページ(一般向け)や政府広報の所有者向けページが案内されています。自治体の空き家担当課がある場合はそちらに相談した方が解決策を早く提示してくれることもあります。
自治体・事業者向け:制度とお金の“入り口”
- 財政支援(補助)
- 空き家再生等推進事業(市区町村向け)、空き家対策総合支援事業(市区町村向け)…各年度の概要資料が公開されています。。
- 空き家対策モデル事業(NPO・民間等向け)…R5~R7の事業募集・概要ページが整備。
- 空き家再生等推進事業(市区町村向け)、空き家対策総合支援事業(市区町村向け)…各年度の概要資料が公開されています。。
- 税制上の措置
- 前述の固定資産税の特例、3,000万円特別控除の制度資料に直リンク。広報・相談体制の整備にも活用可能。
- 前述の固定資産税の特例、3,000万円特別控除の制度資料に直リンク。広報・相談体制の整備にも活用可能。
- 全国調査の実施
- 施行状況の全国調査、都道府県別の一覧(計画策定・協議会設置・管理活用支援法人・活用促進区域)が公表。自団体の立ち位置確認に使えます。
2023年改正後の運用
- 段階的な関与:
通常の空き家 → 管理不全空家等(悪化の恐れ)→ 特定空家等(著しく危険等)と段階評価し、助言→指導→勧告→命令→代執行までエスカレーション。運用ガイドラインが整備済みです。 - 活用の後押し:
管理活用支援法人の指定や、活用促進区域の設定で、売却・賃貸・利活用(リフォーム・コンバージョン)を後押し。実施団体の一覧を確認可能です。
○ 採択事業の例
テーマ1:官民連携による独創的な空き家に関する相談対応の充実
自らが空き家を再生させるだけでなく、他者の空き家再生のきっかけとなるような空き家の再生」に関する講座の開催、助成金制度の創設に取り組む。[橋本市]
テーマ2:空き家に関連する新たなビジネスモデルの構築
空き家の解体時に発生する木材に限らず、ガラス、家具、建具、金属部材なども含めた多様な資材の再利用を想定し、それらを加工・活用することで、解体費用の一助とする仕組みの構築を目指す。[株式会社テダソチマ]
テーマ3:新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用等
空き家の利活用が進まない要因である「広さ・費用・心理的ハードル」に対し、専門家による個別相談、体験型施設、間取りワークショップ、マッチング制度等の多面的支援により、実需とのミスマッチを解消し、空き家に対するニーズに応じた様々な利用方法を見出すことで、定住促進と地域活性化を目指す。[一般社団法人ユニテ]
- 情報×財政での底上げ:
所有者情報の適正活用、データベース標準化、補助・税制のパッケージで空き家対策の解決速度を上げていくのが国土交通省の方針です。
所有者がいますぐできるアクション
- 現況チェック
屋根・外壁・雨樋・開口部、敷地の草木、害獣痕、周辺への越境を確認。問題のある空き家としないこと。 - 最小限の維持
通風・排水・漏水跡の確認、雨漏り・破損は早めの応急処置で将来的なコストを抑制し、手放す場合にも売りやすい状態を維持する。 - 方針決め
- 活用方法の検討
賃貸・多拠点居住・事業用途など、空き家を使う、使ってもらう方法を考える - 売却の検討
3,000万円特別控除の要件をチェックし、有利な税制のうちに手放す。 - 解体・更地化
固定資産税の扱いをよく確認し更地化する。空き地は駐車場にするなど、活用。
- 活用方法の検討
- 自治体相談
空き家バンクや各自治体の支援メニュー、補助の有無を確認しておくと良いでしょう。
国土交通省・自治体の動き
国土交通省の空き家対策の現時点の動きをまとめると。以下のような政策になります。
- ガバナンス
空家対策計画・法定協議会・管理活用支援法人の整備状況を見直し。ただし、管理活用支援法人自体はまだ数社しか存在せず、あまり認知もされていないです。 - 情報基盤
データベース標準仕様の採用、所有者情報の内部利用・外部提供ガイドラインに沿った運用設計を開始しています。 - 財源活用
空き家再生等推進事業/総合支援事業の最新年度メニューを精査。民間向けモデル事業も併用して行っています。 - 出口づくり
活用促進区域の検討、空き家・空き地バンクとの連携強化、用途転換・リフォーム誘導策に関する政策も現在進行中です。



