ユニットバスの歴史 実は日本人が発明した浴室革命、昔の在来工法の歴史から現代の最新型ユニットバスまでたどるユニットバスの歴史
在来工法の時代
浴室というのは現在ではユニットバスが主流になっていますが、昔の浴室は在来工法と呼ばれる浴室でした。
在来工法の浴室は現場で見ずの浸水を防ぐ防水から床や壁のタイル張りの仕上げまで手作業で作りこむ浴室工法の事です。
団地やマンションの床はフローリングや下地の木材をはがすと、コンクリート上のモルタルの床が出てきます。

在来工法の場合は、このモルタルの上にアスファルト系防水・セメント系防水・ウレタン塗膜などを施工し、水が床下にしみこまないように防水層という層を作ります。
イメージでいえば、学校のプールのような層を浴室内に作るイメージです。
防水層のままでは見た目が良くないので、最後の仕上げは防水層の上からタイルや御影石を貼って仕上げます。
床だけではなく壁にも途中まで防水層を作ります。壁も仕上げ工事は腰までタイル張りをして、上部はモルタル塗りをする場合や、全面タイル張りをすることも多くありました。
浴槽は単独で別設置をすることが多く、ホーロー鋳物・ステンレス・FRP・木製などを据置きや半埋込で設置しました。
より古い時代の在来工法の浴室の場合は、浴槽も防水層とタイル張りで作っているケースもあります。ですが、保温性が低いため、徐々に浴槽は別の素材を使われるようになりました。
給湯や追焚はバランス釜と呼ばれる据置風呂釜を使用していました。バランス釜は不完全燃焼を起こしやすく危険という指摘も一部にあり、現在ではあまり使われなくなっています。
在来工法の浴室のデメリット
在来工法の浴室は換気性が悪くカビが生えやすく衛生面での課題がありました。また、断熱性も悪いため冬場は結露やヒートショックの原因になりやすい浴室でした。
在来工法の浴室は保温性の低い浴室であるため、湯冷めを避けるために過剰に高温な湯舟につかる習慣が昔はあり、それもヒートショックのリスクを高めていました。
現在においては在来工法の浴室は宿泊施設等の広い浴室を作らなければならない場合に限定され、90%以上がユニットバスに移行しています。
ユニットバスは日本人が発明した
ユニットバスの歴史は、1964年の東京オリンピック前後にホテル需要とともに日本で本格的に導入が開始されました。
東京オリンピックの突貫工事において従来の在来工法の浴室では、建設が追い付かないため、別手段を考える事になりました。
その際に、当時の日立ハウステックとTOTOが浴室を工場で成形し現場で組立てるだけという、ユニットバスを発明しました。
現場ではなく工場で作られる浴室工業化の利点を活かして集合住宅・戸建て・ホテルに一気に広がり、今日では国内の浴室の約9割以上がユニットバスという“標準規格”に到達しました。
1960年代の創成から2000年代以降の進化に至る半世紀超のユニットバスの歩みは、単なる設備のイノベーションではなく、工期短縮・品質の平準化・防水性能の安定化・維持管理の容易化を通じて、日本の水回りの生活文化そのものを塗り替えたのです。

https://jp.toto.com/company/press/company/csr/20160520002180/
ユニットバスが変えたライフスタイル
まず、生活文化を変えた第一の要因が浴室を現場で作る職人製品から、工場で作る工業製品に変えた事でスピードと品質を両立した点です。
タイルを一枚ずつ貼る在来工法は時間がかかり、職人の“当たり外れ”で仕上がりがぶれます。
一方ユニットバスは防水性の高い素材で天井・壁・床・浴槽を成形し、現場で短時間組み立てるため、工期短縮と品質の標準化が可能になりました。
そして、第二に、集合住宅・ホテルに最適な“規格化”による搬入の容易化です。です。部材のモジュール化が進み、狭い搬入経路や高所でも搬入しやすく、高層階でも短工期で設置できます。
第三に、ユニットバスの多様化です。最近のユニットバスは保温性やデザインにも優れ敢えて在来工法の施工をする必要が無い程に機能性が進化しています。
例えばテレビやスピーカーの付いたユニットバスや、肩湯やスチーム機能の付いたユニットバスもあります。
風呂文化そのものを変えるような高機能なユニットバスが増えています。
こういった点から、ユニットバスは日本の水回りの生活文化そのものを塗り替えたと言えるのです。

メーカー横断での規格サイズの導入
ユニットバスの歴史は、東京五輪直前のホテル建設ラッシュが引き金となり、1963年前後を起点に日本で実装が一気に進んだことで幕を開けました。
短工期で大量の客室を供給する必要がある中、在来工法では間に合わない上、高層建築では軽量で防水性の高いシステムが必要でした。
そこで工場で成形した浴室ユニットの採用が決定打になったのです。
後にユニットバスは、ホテルから集合住宅へと適用範囲が一気に広がります。短工期・軽量・防水一体のメリットが、都市の高密化と高層化に決定的にフィットしたのです。
ですが、その後のユニットバスの普及に一役買ったのがサイズの規格化です。
通常、工業製品においてメーカー間でサイズの共通化の取り決め等はあまりしないケースが多いのですが、ユニットバスの場合は早期の段階でメーカーを横断したサイズの規格化が進められました。
具体的にはユニットバスの縦横のサイズを1216(いちにいちろく)等の規格を作りました。例えば、この1216の例では、縦1200㎜×横1600㎜のユニットバスのサイズを各メーカーが作ります。
その他にも1416/1616などのメーカーを横断した規格化が進みました。これにより、これにより住宅の標準仕様へとユニットバスが定着した事だけではなく数十年後に思わぬ副産物を生んだのです。
それはリフォーム需要です。
古くなったユニットバスを交換するにあたり、規格化をしていたため、メーカーに関係なく新しいユニットバスを規格サイズで交換できるのです。
こうして、安定的なリフォーム需要がユニットバスの需要を底堅く維持しています。
高齢化時代も見据えたユニットバスの進化
ユニットバスは2000年代に入り、保温・清掃性・バリアフリーなどより高度な機能を有するようになりました。
少子高齢化・省エネ志向・共働きの増加により、ヒートショック対策や掃除負担軽減、転倒予防といった機能が重視されました。
特に手すりに関しては住宅ローンを組むうえでは必須の設備として取り決められている事もあります。

また、最近では給湯器の機能と連動して、浴槽内で一定期間人が動かないと警報が鳴るような高齢者が浴槽で溺れるのを予防するような安全システムも導入されています。
保温性の向上や、排水清掃のしやすい機能等、各社は表面素材・構造・排水等の機能を改良してい行きます。
最近では浴室乾燥機の設置率も高まっており、風呂に入るための浴室から、洗濯ものを干すための浴室としての機能も広がっています。
ユニットバスに浴室乾燥機だけではなく、ミストサウナを設置しているケースもあり、風呂文化そのものがユニットバスの登場により大きく変わったと言えるでしょう。

