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リフォーム・大規模修繕の判断方法

「専有部の大規模リフォーム」「共用部の大規模修繕」はいつやるべきか

共用部の「大規模修繕」

標準サイクル

  • 初回:築12〜15年 … 外壁塗装、屋上・バルコニー防水、鉄部塗装、シーリング更新などが中心。足場を掛ける外装系が主戦場。
  • 2回目:築25〜30年 … 1回目の範囲に加え、給排水管の更新・EVリニューアル・玄関ドア/サッシ更新など設備の交換級が増え、金額が膨らみやすい。
  • 3回目(築40年〜) … 改良・性能向上(断熱・省エネ・バリアフリー)や耐震補強の検討域。建替え比較も視野に入る。

国交省「長期修繕計画作成ガイドライン」は、修繕周期と費用計画を標準様式で示す“ものさし”。計画は定期見直し前提で、劣化診断の結果に基づき調整するのが基本です。

「どれくらいの状況」で実行ラインを越えるか(劣化・安全・競争力)

  • 劣化サイン:外壁のチョーキング(手に白粉)、ひび割れタイル浮き/剥落防水の膨れ・破断シーリング切れ鉄部錆。これらが面的・系統的に観察され、漏水や剥落リスクが高まると即実行フェーズ。
  • 安全・法令タイル剥落・躯体劣化・漏水は第三者被害の恐れ。建築基準法の定期調査、消防設備等の法定点検で要是正が出ているなら猶予は少ない。
  • 競争力:外観劣化は内見CVRを押し下げ、家賃下落→積立不足の悪循環に。診断で早期・予防修繕の便益が上回ると判定できるなら前倒しを。

コスト最適化:足場の思想と項目の分離・統合

  • 足場を要する工事(外壁・防水・シール)はまとめて一度に実施し、足場を要しない工事(EV・機械式駐車場等)は周期が合わないため別タイミングで計画、が原則。
  • 機械式駐車場は、補修5年ごと/更新18〜22年が目安で、大規模修繕(12〜15年)と周期がズレる。駐車需要が細っていれば平面化等の見直しで維持費低減を検討。

築30年前後の“重い工事”に備える

  • 屋上防水撤去新設、外壁再塗装、シール打替、タイル補修に加え、給排水管更新・EV更新・立体駐車場更新など高額項目が同時期に重なる可能性。長期修繕計画の見直し第三者助言で範囲・優先順位を再設計する。

補助金・季節配慮・合意形成

  • 補助事業(マンションストック長寿命化等モデル、長期優良住宅化リフォーム推進、窓リノベ など)は工事内容次第で活用可総会決議や説明会での情報共有も重要。
  • 季節は雨期を避け、住民生活への影響を最小化する工程で。

専有部の「大規模リフォーム」

節目は築20年前後+入退去のタイミング

  • 築20年は、水回り・内装・設備の機能劣化と時代遅れが賃貸競争力を削る節目。入居者の嗜好(独立洗面・分離水回り等)とのギャップが広がりやすく、空室長期化が生まれる。
  • 空室期間の逆算:例)家賃10万円×6か月=60万円の空室損失。これが工事費を上回る・肩を並べるなら、実行の合理性が高い。
  • リフォーム利回り(リフォーム後賃料−現行賃料)÷投資額で年率10%を一応の基準に。「賃料維持(下落防止)」も効果として織り込む。

具体的な“やるべき状況”の判断軸

  • 機能劣化:給湯器(設計標準使用期間約10年)、水栓・温水洗浄便座等の機器類は10〜15年で更新検討。設備トラブルの増加は、レビュー悪化→募集効率低下の引き金。
  • 生活価値の陳腐化3点ユニット→分離独立洗面照明・スイッチ・コンセント位置収納計画など体験価値の刷新が成約率と賃料維持に直結。
  • 配管・水回り10〜20年を目安に、キッチン/浴室/洗面/トイレの刷新と合わせて配管更新・更生を検討。漏水リスクはクレーム・原状回復・下階損害に直結する。

専有部の費用感と設計

  • 水回り4点セットの同時更新は100万〜300万円(仕様で変動)。分離実施一括かは、回転率・賃料効果・空室損失で最適化。
  • ワンルーム等の専有部はオーナー裁量だが、区分所有では共用部や躯体に関わる改修は管理組合ルールに従う(騒音・搬入・養生手順・工事申請)。共用部の大規模修繕と干渉する場合は工程調整が必要。

劣化診断→優先順位→資金計画→合意形成

劣化診断(第三者と数値で判断)

  • 外装・防水・シール・タイル・配管・EV等を第三者の劣化診断で可視化。小規模物件の診断費用は数十万円規模で、過剰・過少の振れ幅を抑えられる。

優先順位(安全>漏水>耐久>美観>快適)

  • 安全・法令(剥落・感電・火災・避難)の是正最優先。次に漏水、続いて耐久・防錆美観快適性の順。足場が必要な工事はまとめて周期不一致の設備更新は単独で。

資金計画(積立・借入・補助)

  • 長期修繕計画3〜5年ごとに点検し、修繕積立金の水準を補正。補助金は対象要件・時期があるため早めに要件確認

合意形成(管理組合・総会)

  • 区分物件では普通決議/特別決議のラインを意識し、説明会→総会の流れで情報共有。施工会社の選定は価格だけでなく提案力で比較。

「やるべき時」を見逃さないチェックリスト

共用部(外装・防水・設備)

  • □ 外壁:チョーキング/クラック/タイル浮きの目視発見
  • □ 防水:膨れ・破断/雨跡、バルコニー床のひび・漏水
  • □ シーリング:硬化・亀裂・剥離
  • □ 鉄部:発錆・腐食
  • □ 法定点検:要是正の指摘あり(消防・建築設備)
  • □ 機械式駐車場:更新18〜22年の逼迫、需要減による平面化の合理性
  • □ 2回目以降:給排水・EV・玄関ドア・サッシの更新域に到達

専有部(内装・水回り・配管)

  • □ 築20年前後、空室が3か月以上続く/反響→内見→申込のCVRが落ちている
  • 給湯器10年超・水栓/機器10〜15年の不具合が増加
  • 3点ユニット等の時代遅れ仕様で内見離脱が多い
  • 空室損失の逆算リフォーム利回りで、費用<効果の試算が成り立つ

物件タイプ別の勘所

木造アパート(低層)

  • 5年刻みの鉄部・防水メンテ+10〜15年の外装(屋根・外壁)が基本。30年で2回の本格大規模修繕が試算上の目安。

RCマンション(中高層)

  • 12〜15年→25〜30年のサイクルで、2回目以降は設備更新が本丸足場工事はまとめ打ちEV・配管等は個別更新が合理的。

区分ワンルーム(専有部重視)

  • 築20年前後水回り刷新+体験価値の更新(独立洗面、照明計画等)で賃料維持/空室短縮。共用部は組合の計画に合わせ連携。

よくある疑問(Q&A)

Q1. 大規模修繕は“必ず12年”でやるべき?
A. いいえ。12年は“目安”で、劣化診断と積立状況で前後します。国交省ガイドラインも定期見直し前提を明記。

Q2. 外装と設備更新を同時にやるのが正解?
A. 足場系(外装・防水)は同時周期がズレる設備(EV・機械式駐車場・配電盤等)は個別が基本。

Q3. 専有部はどの水準までやる?
A. 空室損失の逆算リフォーム利回り(年率10%目安)で水準を決めます。賃料UPが見込めない場合でも空室短縮で回収できるなら実行。

Q4. 築30年を越えて資金が足りない…
A. 長期修繕計画の具体化と第三者セカンドオピニオンで、足場不要工事の分離駐車場更新の見直し等でコスト最適化を。

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