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自主管理をやる場合の方法

自主管理をやる場合の方法

自主管理の定義と全体像

自主管理は、入居者募集、賃貸借契約、家賃回収、クレーム・トラブル対応、建物・設備保守、退去精算まで、賃貸経営に関わる実務をオーナー自身が担う管理方式です。管理委託費がかからず意思決定の自由度が高い一方、法令・実務の知識や即応力が求められます。

自主管理の主な業務

  • 入居者募集・契約:広告作成、内覧対応、申込受付、審査、契約締結。
  • 家賃管理:入金管理、滞納督促、保証会社連携。
  • 入居者対応:設備不具合・騒音・近隣苦情等の窓口。
  • 建物維持保全:日常清掃、点検、修繕、法定点検の手配。
  • 退去・原状回復・再募集:原状回復の範囲判断、精算、次期募集準備。

委託管理との違い

管理会社へ委託すると、入居者対応・家賃回収・点検・修繕手配などを一括代行してくれるため時間的負担が大幅に減少。その代わりに家賃総額の一定割合(例:5%前後、契約形態で異なる)を管理手数料として負担します。自主管理はそのコストを節約できる反面、24時間の一次窓口となる覚悟が必要です。

迷ったら「部分委託」(家賃保証・回収だけ外部化、募集だけ仲介へ等)も選択肢。

自主管理に関わる重要な法制度・ルール

管理業法(賃貸住宅管理業法)の適用範囲

「賃貸人から管理を受託する事業者」が200戸以上を管理する場合、国交大臣への登録が義務です。自己所有物件を自ら管理する一般のオーナーは対象外です(=登録義務なし)。

重要事項説明・契約書

宅建業者が仲介・代理する場合は宅建士による重要事項説明が必要ですが、オーナーが入居者と直接契約する自主管理ではこの限りではありません。契約書は国交省の「賃貸住宅標準契約書」をベースにすると実務的で安全です。

電子契約・IT重説の活用

賃貸分野はIT重説(オンラインでの重説)が制度化され、電子契約も広く普及。非対面で申込〜契約〜保管までを完結できます。

広告ルール

実在しない・取引できない・取引意思のない物件表示は「おとり広告」として禁止。不動産の表示に関する公正競争規約や消費者庁の告示を守って募集情報を作成しましょう。

消防法等の法定点検

共同住宅では規模・用途に応じて消防設備の設置・点検・報告義務が生じます。一般に機器点検:6か月に1回/総合点検:年1回、報告は用途により1年または3年に1回。オーナー(管理権原者)として遵守が必要です。

自主管理のやり方

ステップ1|賃料・入居ターゲット・差別化

  • 競合物件・賃料帯・ニーズ(設備・内装)を分析し決定。
  • 長期入居が見込める属性(勤務地・学区・通勤動線)を明確化。
  • 募集条件(賃料、敷金礼金、更新料、退去費用の扱い等)を方針化。
    (契約条項は標準契約書を参照)

ステップ2|募集資料の整備(写真・図面・PR文)

  • 日中自然光で広角・水平を意識し、欠点も正直に。
  • PR文は駅距離・買物・学区・工事履歴・費用感を明確化。
  • 広告規約に抵触する誇大・紛らわしい表示を避ける。

ステップ3|集客チャネルの構築

  • 現地掲示(募集看板・のぼり)
  • SNS告知(X/Instagram/LINE公式)
  • 個人掲載可のポータル(ウチコミ、家いちば、ジモティー等)
  • 客付けのみ仲介会社へ依頼(専任・一般の使い分け)
    ※各サイトの利用規約(専任義務など)を確認。

ステップ4|問合せ・内覧対応

  • 即返信(当日内)・一次回答テンプレ内覧スロットを用意。
  • 物件資料(図面、設備一覧、初期費用概算、入居条件)を事前送付。

ステップ5|申込受付と入居審査

  • 本人確認(身分証)/属性確認(勤務先、収入証明、在籍確認)
  • 緊急連絡先・連帯保証人(極度額必須)/保証会社の審査
  • 反社会的勢力の排除条項に同意を得る(多くは保証会社審査でカバー)。

ステップ6|家賃保証会社・保険のセット

  • 家賃保証会社の活用で滞納時の回収・立替退去までのサポートが期待できる。プラン・費用・免責を比較。
  • 入居者の家財保険(借家人賠償含む)は入居条件化が一般的。法律上の強制ではないが、事故時の賠償までカバーしやすい。

ステップ7|契約書類の作成と締結(電子化推奨)

  • 賃貸住宅標準契約書をベースに特約(ハウスクリーニング、鍵交換、禁煙・ペット等)を整備。
  • 電子契約IT重説で非対面完結。自主管理は重説義務の主体外だが、重要事項は書面(電磁的方法含む)で明確化し、説明責任を果たす。

ステップ8|鍵渡し・初期対応

  • 植栽・共用部清掃、ポスト名札、ゴミルール、Wi-Fi・宅配ボックス等の使い方は事前に文書にまとめておくと良い。

ステップ9|家賃回収と入金オペレーション

  • 銀行振込/口座振替/カード決済/コンビニ払いなど、自動化できる手段を採用。入金消込と滞納アラートを仕組化。

ステップ10|日常管理(清掃・点検・改善)

  • 定期巡回と軽微補修共用部照明・掲示の管理。
  • 消防設備の点検・報告スケジュールを年次で管理(6か月/1年点検、1年 or 3年報告)。

ステップ11|トラブル対応(一次対応→記録→専門家連携)

  • 騒音・漏水・ゴミ・近隣紛争などは迅速・誠実に一次対応し、記録(日時・経緯・写真)を残す。難度が高い場合は弁護士等の第三者関与を早めに検討。

ステップ12|滞納時の法的ステップ

  • 督促→内容証明郵便による催告・解除予告→明渡訴訟→強制執行の流れ。内容証明は「誰が・いつ・どんな内容を送ったか」を証拠化できます。
  • 進行期間の目安は事案で差が出ます(数か月〜)。専門家連携を。
  • 経済的に困窮する相手方が関わる場合は法テラス等の公的相談窓口の活用も。

退去・原状回復・再募集

原状回復の基本

国交省ガイドラインを参照し、経年劣化・通常損耗は貸主負担借主の故意過失は借主負担を大原則に、事前合意した特約に基づいて明確・公正に精算します。

再募集までの最短ルート

  1. 退去立会い→即日見積り(複数社)。
  2. 写真・在庫化(内装カラー・部材型番)。
  3. LTVに効く小規模投資(照明・水栓・アクセントクロス等)で言語化できる魅力を1つ追加。
  4. 募集資料を退去前から再設計し、鍵返却=募集開始に近づける。

自主管理のメリット・デメリット

メリット

  • 管理費の削減キャッシュフロー改善
  • 意思決定の即応性(賃料調整・修繕判断・設備投資)。
  • 入居者との距離の近さが満足度と入居期間の延伸に寄与。

デメリット/リスク

  • 時間・精神的負担(24時間一次窓口化)。
  • 法令・契約・広告ルールなどの専門性。
  • トラブル対応の難度(騒音・漏水・滞納・残置物等)。

自主管理でも「ここだけは外部の力」を借りたい4領域

  1. 客付け(募集だけ仲介):広い流通網・REINS活用が可能。
  2. 家賃保証・回収:滞納時の立替・回収・法的対応の知見。
  3. 電子契約・クラウド運用:IT重説・電子署名で省力化。
  4. 法的トラブル:内容証明、明渡訴訟、強制執行は弁護士連携が安全。

失敗しない「入居者募集」実践ポイント

効く型

  • 実在性・即時性の高い情報更新(申込・成約で即ステータス更新)。
  • 写真>文言:第一印象は写真で決まる(広角・露出・色温度)。
  • 費用の透明化(初期費用内訳、月額の総支払額、更新・解約条件)。
  • 差別化設備をひとつ(スマートロック、温水洗浄便座、照明)。

絶対NG

  • おとり広告(存在しない/取引不可/取引意思なし)
  • 誇大・紛らわしい表示(公正競争規約に抵触)。

家賃回収の設計

  • 自動引落・カード決済など自動化をデフォルトにする。
  • 保証会社加入連帯保証人の極度額明記でリーガルリスクを圧縮。
  • 入金デイリー確認→3日/7日/14日で段階督促テンプレ運用。
  • 内容証明→解除予告は迷わず実施(記録化)。

日常管理と法定点検

  • 共用部の美観(照明・清掃・掲示・植栽)は空室率と直結。
  • 消防設備は6か月(機器)/年1回(総合)の点検、1年または3年ごとの報告点検記録・維持台帳の整備を忘れない。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自主管理オーナーでも管理業法の登録は必要?

不要です(自己所有の自主管理は対象外)。登録義務は200戸以上を受託管理する事業者に課されます。

Q2. 自主管理でも重要事項説明は必要?

宅建業者が仲介しない直契約なら、宅建士の重説義務は生じません。ただし、重要な条件は書面で明確化し、説明責任を果たしましょう。

Q3. 電子契約やオンライン重説は使える?

賃貸のIT重説は制度化済みで、電子契約も広く活用されています。非対面での安全・迅速な契約運用が可能です。

Q4. 滞納が発生したら?

保証会社の立替や内容証明→解除→明渡訴訟→強制執行の流れを前提に、早期記録化と専門家連携を。

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