不動産に投資する

不動産投資の金融機関事前審査と融資交渉

不動産投資のの金融機関事前審査と融資交渉

事前審査とは?本審査との違い

  • 事前審査(仮審査)は、本審査の前に「この申込内容なら借入の可能性があるか」を簡易に判定するプロセスです。多くの金融機関でオンライン入力中心(収入・勤務先・既存借入・物件概要など)で申込でき、本審査では正式書類と物件評価がより厳密にチェックされます。
  • 本審査では、源泉徴収票や売買契約書等の正式書類の突合や担保評価(物件の価値)まで含めて最終判断が下ります。

ひと口に「事前審査」といっても、住宅ローンと不動産担保ローン(投資目的を含む)では運用が異なることがあります。名称が同じでも中身は商品ごとに違うので、各社の説明を必ず確認しましょう。

事前審査で見られる主なポイント

  1. 個人属性:年収・勤続年数・雇用形態・年齢など
  2. 信用情報:CIC/JICC/KSCへの照会(延滞・事故・申込履歴 等)
     — CICの「利用記録(申込等の照会履歴)」は6か月KSCの照会記録は会員への提供6か月(本人開示では1年)保有。申込多重はマイナス評価になり得ます。
  3. 返済負担返済比率(総返済負担率)を審査金利でストレス計算(一般に目安30〜35%)。
  4. 既存借入:住宅・自動車・カードローン等の返済状況や残高
  5. 物件の概要:所在地・規模・築年・入居状況(投資用はレントロール等)

投資ローン固有の視点としてDSCR(返済余裕率)も重要。NOI÷年間返済額で、1.2倍以上がひとつの目安と解説されています。

事前審査に必要な書類(投資用ならではを含む)

個人に関する書類(例)

  • 本人確認(運転免許証・マイナンバーカード 等)、住民票印鑑証明
  • 源泉徴収票(直近〜3年)/確定申告書、住民税課税証明 ほか
  • 金融資産(預貯金・有価証券・生命保険 等)の確認資料
  • 既存借入の返済予定表、返済口座の通帳 等
    物件に関する書類(例)
  • 物件概要書/レントロール/賃貸借契約書
  • 売買契約書/重要事項説明書/登記簿謄本
  • 公図・間取図・検査済証/建築確認 等
    ※新築・一棟等では事業計画書や請負契約書・見積書も。

金融機関・個人/法人で細部は異なるため、商品ページの最新要件を必ず確認しましょう。

申込の流れ

  1. 事前審査申込(オンライン中心/必要事項入力)
  2. 信用情報照会+机上与信(返済比率・属性)
  3. 速報(可否と概算条件)本審査へ
  4. 本審査・書類突合・担保評価最終条件
    多くの金融機関で仮審査はオンライン完結し、本審査で正式書類の原本を確認します。

事前審査OKでも本審査で否決される代表的パターン

  • 物件の担保評価が想定より低い(路線価・収益性・法規適合 等)
  • 団体信用生命保険(団信)の加入不可/健康状態の問題
  • 申告と実態の不一致(年収・借入・雇用条件 等)
  • 審査中の転職・新規借入・延滞など状況変化
    これらは各社の解説でも挙げられる典型例です。

団信は商品により仮審査後すぐ申込み告知書の提出が求められる場合あり。健康診断書が必要となるケースにも注意。

「複数行に事前審査」はアリ?—戦略と注意点

  • 比較目的で複数申込自体は一般的。ただし短期間の多重申込は信用情報に申込履歴が残り、ネガティブに評価されるおそれがあります。CICの照会記録は6か月、KSCの会員提供は6か月(本人開示は1年)保有。数社比較に留め、同時多発は避けるのが無難です。
  • 申込履歴は可否や詳細条件までは表示されないものの、「短期に多数」は申込過多とみなされ得る点に留意。

事前審査~本審査の「NG行為」

  • 新規の借入やカードのリボ・分割を増やす(返済比率が悪化)
  • 転職・退職等の大きな属性変更(返済安定性の低下)
  • 延滞・入金遅れ(信用情報の毀損)
  • 申告内容との不一致(未申告の借入 等)
    各社の注意喚起にもある通り、審査期間中は“動かない”が鉄則です。

投資用ならでは:DSCR・賃料前提・レントロール

  • 事前審査では満室賃料を基に返済比率やDSCRの粗判定を行い、本審査でNOI(経費控除後)ベースの収益性やレントロールの整合まで詰めるのが一般的です。DSCRは1.2倍以上が目安とされます。
  • 銀行は投資ローンで返済比率だけでなくDSCRを重視する旨の解説も(オリックス銀行など)。「返済比率は“低いほど良い”、DSCRは“高いほど良い”」の違いを押さえましょう。

事前審査に強くなる準備術(チェックリスト)

A. 書類整備

  • 個人:本人確認、住民票、印鑑証明、源泉徴収票(〜3年)確定申告控、資産残高、既存借入一覧
  • 物件物件概要・レントロール・売買契約書・重説・登記、図面一式、検査済証 等(新築は事業計画・請負契約書)
    → まずは金融機関の“必要書類一覧”で差異を確認。

B. 数字の整合(審査目線)

  • 返済比率(総返済負担率):審査金利で30〜35%目安に収める。
  • DSCRNOI÷年間返済額≥1.2をひとまずのターゲットに。

C. 信用情報のセルフチェック

  • CIC/JICC/KSC延滞や申込履歴を事前確認。KSCはオンライン開示が最短3〜5営業日程度。
  • 直近6か月は申込過多を避ける(申込情報の保有期間に注意)。

D. 団信の備え

  • 告知書の準備、場合によっては健診書類が必要になることも。

よくある質問

事前審査に通ればもう安心?

A. 最終判断は本審査。担保評価や団信、書類整合で変わる余地があります。

住宅ローンの基準は不動産投資ローンにも当てはまる?

A. 返済比率の考え方は共通ですが、投資ローンはDSCRなど事業性の指標も重視されます。

事前審査の結果はどの程度信用できる?

A. 各社の運用と提出情報の精度に依存します。物件や健康状態の要素が本審査で変われば結果も変わり得ます。

何社まで同時に申し込んでよい?

A. ルール上の上限はありませんが、短期に多社申込=申込履歴の蓄積で不利になり得ます。数社比較に絞るのが無難です。

金融機関の種類と特徴

メガバンク

特徴:全国展開・調達安定。個人投資家よりも資産家・法人との取引比重が高く、審査は相対的に難易度高め。条件がハマると金利・上限額で有利になり得ます。基本的に初めての不動産投資でメガバンクからの融資を受けるのは非常に難易度が高いと思っておいた方が良いでしょう。

地方銀行・信用金庫

特徴エリア適合性を重視。メガより門戸は広めな一方、金利はやや高めになることも。

物件所在地・居住地との関係や、地域との関係性が効きます。しかし、近年では群馬銀行等の地方銀行が東京に支店を設けて、不動産投資専門の融資を行っているケースがあります。銀行名だけでエリアが限定されると判断をしないようにしましょう。

信託銀行

特徴:銀行業+信託機能。比較的低金利が言われ、安心感は高い反面、手数料や取引全体の条件も総合で見る必要があります。

ノンバンク

特徴:与信の柔軟性は高く審査が通りやすい・スピードで優位。ただし金利は高めになりやすい。

ネット銀行

特徴低金利が魅力。審査はデータ重視で厳格になりやすく、オンライン完結。

アパートローン vs プロパーローン

アパート(マンション)ローン

  • 規格型商品。審査基準・条件があらかじめ決まっており、審査スピードが速い
  • 上限は年収倍率(7〜8倍目安)で管理されるケースが多い(例示)。属性に左右されやすい。

プロパーローン

  • 個別与信(資産背景・事業性・実績)でオーダーメイド審査。
  • 高額・長期が狙いやすい反面、審査に時間。保証会社不要で、連帯保証が求められるのが一般的。

金利タイプと返済方式

  • 変動金利:初期金利は低め。上昇リスクに備え、金利が上がった場合のキャッシュフローのシミュレーションをしておく。
  • 期間選択固定/全期間固定:一定期間(例:3〜10年等)や全期間で固定。金利リスク低減の代わりに初期金利は高め。
  • 返済方式元利均等はキャッシュフローが読みやすい、元金均等は総支払利息の圧縮に寄与(事業計画に合わせて選択)。

「金融機関の選び方」

借入金額

どれだけ借りられるかは、担保評価・耐用年数(構造×築年)で変動。家賃収入と返済のバランス(DSCR)を黒字で維持できる上限を計画的に。

金利(固定・変動のミックス)

金利水準の差はCFに直撃。金利タイプのミックスや借入の期間分散で金利リスクを分散化させる方法を取る人もいる。

返済期間(物件寿命・CFの最適点)

長期化で月々返済は軽くなるが、総支払利息は増える。耐用年数と修繕サイクル、出口計画(売却・借換)と整合させる。

団体信用生命保険(団信)

付帯内容(がん・三大疾病等)や金利上乗せの有無を比較。家族の保障設計とも整合を。

補助軸

  • 取引スピード・審査姿勢(ネット完結か、対面重視か)。
  • 取引の広がり(借換・追加融資・当座の付随サービス)。

審査で見られるポイント

  • 個人の属性:年収・勤務先・勤続年数・資産背景。
  • 自己資金:頭金・金融資産。
  • 物件の収益性:家賃収入・運営費・空室想定・耐用年数。
  • 事業計画の妥当性:計画がブレた場合のシミュレーション分析(賃料−5%、金利+1%等)。
    これらを整合の取れた資料(レントロール、相場根拠、修繕計画)で示すと通りやすい。

具体的な“枠”の例として、年収・金融資産・返済比率など、金融機関ごとに目安条件が設けられることがある(例:年収倍率、返済比率上限 等)。詳細は各行の要項や提携スキームに依存。

年収・資産・戦略別:銀行の当て方

  • 年収700万前後・一次取得:アパートローン中心に低金利×審査スピード重視で比較。ネット銀行は低金利だが審査は厳格化傾向。
  • 高属性(年収1,500万〜/法人化):プロパー含め上限額・期間を狙う。事業性・実績の見せ方が鍵
  • ブリッジ・短期回転ノンバンクで取得→期中改善→地銀・信託へ借換という選択肢も(条件差・手数料に留意)。

フルローン/オーバーローンは“効率”と“安全性”の綱引き

  • フルローンは手元資金を温存できる一方、返済比率上昇と金利上昇局面の脆弱化に注意。商品ごとの対象エリア・条件を必ず精査。

申込から実行まで:5ステップの全体像

  1. 事前審査(仮審査)
  2. 物件契約(売買契約)
  3. 本審査
  4. 金消契約(金銭消費貸借契約)
  5. 融資実行・引渡し
    各ステップで求められる書類や確認ポイント(属性資料、物件資料、事業計画)は借入先ごとに異なるため、カバレッジを事前に準備。

銀行交渉の実務:条件を一段引き出す技

  • 相見積(複数行打診)で「金利・期間・団信・保証料」を総合最適化。
  • 期中の数字(稼働率・滞納率・NOI・修繕実施)を四半期で共有し、次の借換・追加を見据える。
  • 修繕・省エネ投資の計画性(ESG観点も含む)を伝えると、事業継続性の信頼に繋がる。

「金融機関の選び方」

A. 目的・計画

  • 目的(キャッシュフロー/資産形成/相続)
  • 出口(長期保有/借換/売却)と金利シナリオ

B. 物件スペック

  • 立地・家賃相場・空室リスク
  • 構造と耐用年数/修繕計画/レントロールの再現性

C. 借入条件

  • 借入上限(LTV/年収倍率)返済比率
  • 金利タイプ(変動/固定/ミックス)、返済期間
  • 団信(特約の内容)、保証料・手数料の総額
  • ネット銀行/信託/地銀/ノンバンクの比較表を作る

D. 審査書類

  • 属性資料(年収・勤続・資産)
  • 物件資料(登記・図面・検査済・レントロール・相場根拠)
  • 事業計画(NOI、DSCR、感度分析:賃料−5%、金利+1%、空室+5pt)

よくある質問

住宅ローンと不動産投資ローンの違いは?

投資ローンは事業用の色合いが強く、物件収益性や事業計画が重視されます。返済原資は給与+賃料という考え方で、審査着眼点が異なります。

ネット銀行は本当に低金利?

概して低金利だが、審査は厳格になりやすい。オンライン完結でスピードは速い一方、定量基準への適合が重要。

どの銀行が“おすすめ”?

人と案件で変わるが、比較記事ではメガ・信託・地銀・ノンバンク・ネット銀行・日本公庫の主要商品がリスト化されている。自分の属性・物件・目的に合う“土俵”を選ぶ。

初心者はどこから当たるべき?

アパートローン系は一次取得との相性が良く、条件が見えやすい。ただし年収倍率・返済比率・耐用年数の制約を早めに把握し、机上→現地→審査書類の順に準備。

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