購入住宅の引き渡しとアフターフォロー

不動産決済引き渡しから瑕疵保証まで完全ガイド
不動産を引き渡してもらう際の手続きと、居住後のトラブルに関する保証期間まで、基本を知っておきましょう。
引き渡し決済とは?同日「支払い+登記+鍵渡し」を一気に完了する日
不動産売買では、買主、売主、不動産会社の三者(不動産会社が双方に居る場合は四者)が揃い、残代金の支払い・所有権移転登記の手続き・鍵や書類の受け渡しを、原則同じ日にまとめて行います。
不動産は高額な買い物であるため、資金の移動と物件の登記に関するやり取りを同時に行う商習慣があります。これにより、不払い・未引渡し等のリスクを抑制させる効果があります。
更に詳細に説明すると、決済場所は買主の住宅ローン融資を受ける銀行の応接室で行われるケースが多いです。ネット銀行を利用する場合は不動産会社の応接室を使って決済を行うケースが多いです。
また、手続きには売主や不動産会社が指定する司法書士も同席して書類の確認と登記手続きを行います。ですから、決済日の登場人物としては、買主、売主、不動産会社(双方仲介の場合は2社)、銀行担当者、司法書士の最大6者が揃って手続きを行います。
引き渡し猶予特約
基本的に決済日以降は売主は売却済物件の鍵を引き渡すため、物件に出入りする事はできません。ですが、例外的に、売主の事情で「決済は先に、物件引渡しは数日〜数週間後」とする合意(鍵の受渡し猶予)を置くことがあります。
主な理由としては購入先の不動産決済日が同日に行えないため、引っ越しまで数日の猶予が必要と言うケースが多いです。所有権移転は決済日に完了しつつ、売主が一定期間だけ居住を継続する形です。内容とリスク配分を契約書で明確化しましょう。
決済当日の流れ(タイムライン)——買主視点で8ステップ
場所は住宅ローンを使う場合、通常は借入金融機関の応接室が多い。ネット銀行や現金決済など例外はあります。決済の所要時間は1〜2時間程度が目安(月末等の混雑時は長め)。
標準フロー
- 本人確認と書類突合:売主・買主双方の本人確認、必要書類の最終チェック。
- 登記関係書類の作成・確認:司法書士が所有権移転(買主)・抵当権抹消(売主)・抵当権設定(買主ローン)の書類を確認。
- 住宅ローンの実行:金融機関が融資を実行し、買主口座へ入金(手数料等は差し引かれることあり)。
- 残代金と諸清算の支払い:売買残金に加え、固定資産税・都市計画税の日割り、管理費・修繕積立金(マンション)の清算を行う。
- 売主ローンの抹消手続き(残債がある場合):残代金充当→抵当権抹消。
- 鍵・関係書類の受け渡し:鍵、取説、管理規約、パンフ等の引継ぎ。
- 各費用の支払い:仲介手数料、司法書士報酬、火災保険料など。
- 登記申請(司法書士):所有権移転・抵当権設定を法務局へ。登記完了は通常1〜2週間で、登記識別情報が交付されます。
決済日に必要な持ち物・書類(買主チェックリスト)
- 実印・印鑑証明書(発行3か月以内)/住民票/本人確認書類
- 通帳・キャッシュカード(振込上限事前引上げも確認)
- 住宅ローン関連書類一式・銀行届出印
- 仲介手数料・清算金(決済時支払いがある場合) など。
不動産会社から指示された書類を忘れずに持参します。
万が一、決済日に忘れ物がある場合は、自宅まで取りに戻ってもらう事になります。出席者が多い決済日に関しては他の日にずらす事は難しいため、多少時間がかかっても取りに戻ってもらうケースがほとんどです。忘れ物が無いように注意しましょう。
決済当日に“止まりがち”なポイントと対策
- ネット振込の上限:高額振込でエラー→事前に上限UP。
- 印鑑証明の期限切れ:発行3か月以内基準に注意。
- 固定資産税の精算:1/1時点所有者=売主が年税額を負担→引渡し日に応じて日割り清算。
- 引渡しが後日(猶予特約):賃料や損害担保の合意、鍵管理、保険の扱いまで条項で明確化。
決済後にすぐやること
- 火災・地震保険の始期設定(多くは引渡し当日0時 or 決済直後)。
- 電気・ガス・水道・インターネットの名義変更と開栓手続き。
- 住所変更・金融機関・勤務先への届出、住宅ローンの口座残高維持。
- 登記識別情報の厳重保管(再発行不可、紛失注意)。
契約不適合責任(瑕疵保証)の基礎—2020年改正民法の「今」
旧来の「瑕疵担保責任」は、2020年4月から契約不適合責任に再編。引き渡された物件が「契約どおりでない」場合、買主は追完(修補)請求/代金減額請求/解除(軽微除く)/損害賠償等を選択できます。
通知期間(原則):買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知が必要(通知だけでよく、権利行使自体は別途時効管理)。
消滅時効の目安:改正民法の一般原則により、権利行使は知った時から5年/発生から10年のいずれか早い方で時効消滅(個別条件で異なるため契約・法務確認を)。
「誰から買うか」で変わる保証期間の実務
個人売主から購入する中古のケース
実務上、期間や範囲を特約で限定するのが一般的。引渡し後3か月程度の期間設定や、設備は短期(例:1週間〜1か月)といった運用例が見られます(あくまで合意内容次第)。付帯設備表・物件状況報告書で現況を具体的に特定し、トラブルを予防しましょう。
設備の短期保証例:給湯器やコンロ等の付帯設備は、引渡し後1週間以内に故障を通知したもののみ売主負担等の特約が実務で用いられます。内容は契約で要確認。
不動産会社(宅建業者)が売主のケース
宅地建物取引業法40条により、売主が宅建業者のときは、買主に不利な特約で通知期間を2年より短くすることは無効。つまり、引渡し後2年以上の通知期間を確保する特約以外はNGです。
新築住宅(請負・売買)
品確法により、構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分について引渡しから10年間の責任が義務付け。さらに住宅瑕疵担保履行法で、事業者に保険加入または供託の資力確保措置が義務化されています。
中古でも安心を上げる方法:既存住宅売買瑕疵保険+インスペクション
中古の売買では、第三者検査を前提に「既存住宅売買瑕疵保険」を付ける選択肢があります。構造耐力上主要な部分・雨水浸入防止部分等が対象で、保険期間は1年または5年のタイプ。検査適合が前提で、万一の補修費用等に備えられます。
合わせて、物件状況報告書/付帯設備表を丁寧に作成・確認し、既知の不具合や引渡し時の状態を合意文書に落とすのが鉄則。記載と現況がズレると、決済後の紛争(修繕請求・減額請求等)の火種になります。
「危険負担」「環境変化」などグレーゾーンの考え方
- 危険負担:契約〜引渡しの間に、地震・火災等で目的物が損傷・滅失した場合の負担は、契約条項での定めや改正民法の解釈が関与。標準契約では「引渡し時点までの滅失・損傷は売主負担」とする条項が用いられることが多いので、自分の契約書を確認しましょう。
- 周辺環境の変化:契約後しばらくして隣地建築で景観が悪化した等は、契約時点に不適合が存在することが前提の契約不適合責任の射程外となるのが原則。
決済日までの実務カレンダー(買主)
- 契約〜決済の間:住宅ローン本申込→金消契約/火災・地震保険の見積・申込/住宅用家屋証明の取得/司法書士打合せ。
- 決済5〜3営業日前:振込上限の引上げ・振込先再確認/印鑑証明・住民票の期限確認。
- 決済当日:上記フローの8ステップを順に消化(本人確認→登記書類→ローン実行→残代金・清算→鍵→登記)。
- 決済後1〜2週間:登記完了書類(登記識別情報)受領→厳重保管。
- 引渡し直後〜1週間:付帯設備の動作確認。特約で短期保証がある場合は期限内に通知。
- 不具合を見つけたら:証拠化(写真・動画・点検記録)→売主へ書面で「知ったときから1年以内に通知」(メールでもよいが記録性重視)→合意・修補・減額・保険適用の検討。
よくある質問(FAQ)
Q1. 決済日の持ち物をもう一度ざっくり教えて?
A. 実印・印鑑証明・住民票・本人確認書類・通帳/カード・銀行届出印・清算金・住宅用家屋証明・ローン関連書類。マンションは管理関連書類もチェック。
Q2. 「契約不適合責任」はどれくらいの期間有効?
A. 通知は「知ってから1年以内」が原則。さらに法の一般時効で5年/10年の枠組みがあります。宅建業者が売主なら2年以上の通知期間を確保する特約以外は無効。新築の基本構造・防水は10年が義務
Q3. 中古で不安。追加でできる備えは?
A. インスペクション+既存住宅売買瑕疵保険(1年または5年)、付帯設備表/物件状況報告書の精緻化が王道です。
まとめ
- 決済当日は「支払・清算・鍵・登記」を同日に完結。持ち物と段取りを事前に固める。
- 住宅用家屋証明の活用で登録免許税を大幅軽減——早めの準備が節税に直結。
- 契約不適合責任は通知1年が基本。宅建業者売主は2年以上の通知期間確保が必要。新築は10年の法定保証(構造・防水)。
- 中古の安心度を上げるには、既存住宅売買瑕疵保険+インスペクション+設備・現況の明文化。
- 設備短期保証や引渡し猶予特約など個別特約は、条文・期限・負担を具体化して誤解を防止。
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